電子は水底へ 7
オリジナルの長編SF小説です。
~あらすじ~
近未来の世界で庭師として生きるアンドロイドが、ある日、巨大で奇妙な白い繭を見つけ、大事件に巻き込まれていく。逃亡中に重大な秘密を知り、苦悩からヒトを開放する手段を見つけるため、旅に出るが……
※週に1~2回ほどの頻度で更新いたします。
※少し残酷な描写がございます。苦手な方や、18歳以下の方の閲覧は推奨しません。
※14~17回ほどで完結する予定です。
【電子は水底へ 1 】【電子は水底へ 6 】⇔【電子は水底へ 8 】
生命力を誇示するような濃緑の厚い葉を撫でる。葉の根本には、膨れた小さい蕾がいくつも付いていた。
「たまにしか、まともな手入れはしてないんだがな、律儀にも毎年咲く。レモンイエローと白の小さい花だ。ニクスの方が詳しいか。オリーブだ。月桂樹」
ガラスに覆われた小さい庭の隅に、1本だけ植えられた立木。その下方にある枝を黙々と切っていたディルクさんが、息を吐きながら立ち上がった。
「元気そうです。温度や湿度も管理できるガラス張りの中庭で、日光をたっぷり浴びているからでしょう。今年も咲きますよ」
お気に入りいただけましたら、よろしくお願いいたします。作品で還元できるように精進いたします。