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「完全食」系の商品に感じる普及の難しさ

完全食の市場が最近ホットだと感じる。
コンビニでベースブレッドや完全メシのドリンク等が売られるようになり、一般化しつつあると感じる。
値段設定が弁当一食分よりも微妙に安い程度の価格設定で、原価ではなく「コスパの良い食事」というコンセプトでの設定になっていると感じるがそこはまあ良い。

完全食系の商品は、消費者からの期待が高い割にかなり売るのが難しい商品だろうなと外野から見ると思う。
なので、なぜそう思うのか意見を書いて、頭の体操がてら自分ならどう完全食系の商品を売っていくか考えてみる。

なぜ普及が難しいと思うか?


おそらく消費者にどんな加工食品が欲しいか尋ねると、「楽に安価に健康になれる商品」という答えが結構な割合で来ると思う。私もおそらくそう答える。じゃあ完全食の商品を作ろうという発想になるだろうが、おそらく完全食が欲しいという回答をする人の大半は別に完全食の商品は買わないと思う。きっと主戦場は栄養状態が悪い海外になる。
なぜならば、「安価に栄養不足を回避する」というのは日本だと戦後から1970年にかけてすでに達成されていることであり、飽食の時代に入っているからだ。
「これを食べれば栄養の偏りがなくなります」と言われたとして、それを毎日食べる人がどの程度いるだろうか?私ならある程度健康に気を遣いながらまず好きなものを食べて、偏り始めたらバランス調整のために完全食を食べる程度でしか利用しない。完全食だから商品を選ぶというより慣れや習慣で商品を選ぶ。私は部活の時にカロリーメイトをよく食べていたので、いまだに時間がない時はカロリーメイトを買って食べてしまう。結局マーケティング勝負になる。

また、完全食を売る企業としても「我が商品だけ食べていれば健康でいられますよ」などと言うことはできない。「現在の知見では完全食と言える商品」ということになるためで、私が製品開発者であれば間違いなく「健康でありたければいろんなものを食べた方が良いですよ」と回答する。

国内で完全食のターゲットとなる人を予想すると、
・時短したい人
・食事にあまりこだわりがない人
・でも健康意識が強い人
となり、健康意識が強い人はそもそも完全食のヘビーユーザーにはなりにくいのではと思う。また、時短したくて食事にあまりこだわりがない人も多くはないと思う。

自分ならどういう戦略を取るか?

では、自分なら完全食系の商品を任されたらどんな戦略をとろうと考えるか?を考えてみる。
やはり以下の3つの方策をまず試すと思う。

  1. マーケティング
    ひたすら広告費をかけて既存の完全食商品の消費者への刷り込みを行う。

  2. 既存商品の海外展開
    あくまで主戦場は海外。海外拠点と製造設備があるところがやはり強い

  3. 商品のスペックを上げる
    カスタマイズ完全食を作る。ただし、まずはカスタマイズでコストかかっても高単価が期待できる病院食・介護食等として売り込む。病院や介護施設等で一件導入が決まれば安定した売上が期待でき、消費者向けよりターゲットも絞りやすい。ニッチな市場で利益を上げながら、カスタマイズ商品を作るオペレーションを作って一般向けに「個別最適な完全食」という次世代商品として売る。

商品ラインナップを増やそう、国内シェアの取合い等の国内広報的には魅力的に見える楽な打ち手に逃げずに、当たり前の戦略を一貫して実施できれば良いが、それが難しいのが大規模組織なんだろうなと思う。

個人的には完全食的な未来は期待しているが、現状の「現在の栄養学の知見をもとにした1日摂取基準量を満たしている商品」としての完全食ではあまり魅力を感じられていない。

余談だが、最近プロジェクトへイルメアリーを読んていて、寿命が尽きるような惑星間移動のためにコールドスリープ状態になって点滴のようなもので生命維持をするという描写があったが、そういうSFのような世界観の実現に必要な技術につながるような開発が進んで欲しいなと期待している。



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