婚活記 #1
今回で3回目、また来てしまった。
「何してるんだろう、私。」
終わった後には必ずと言っていい程、暗い地面を見ながらそう思う。
パーティーが始まれば、お互いに関心のあるふりをしながら会話をし、心の奥底を隠すようなジョークや笑顔の嵐だ。
こんなんで出会いなんてあるのだろうか?そう思わずにはいられない。
それなのに、今回こそは楽しいと思える相手に会えるのではないか?
という期待を毎回してしまい、ポチッと申し込むのだ。
パーティーが終わった後は、帰り道や翌日に食事のお誘いのメッセージが届くのが通例だ。
勇気を出して送ってくれている男性陣には申し訳ないが、こじらせ女子の私はそれが嫌なのだ。
それを鵜呑みにした面々が集まるため、男女共に見た目の特徴が無い。
もちろん顔を覚えるのも至難の業で、後日メッセージが届いても顔は思い浮かばない。
「はぁ、どう断ろう・・・。」
毎回それを考えるのが面倒で、最近は失礼ながら既読スルーをしてしまう。
パーティーで出会った女性も、気が向いたら返信するくらいだと話していたので、慣れてくればそういうモノなのかも知れない。
ブーブッブッ。
マナーモードのスマホが鳴り、ビクッとした。
来たか…。
こう思ってしまうのも、もはやパブロフの犬やトラウマの様な反応なのかもしれない。
そう感じながらSNSを開く。
メッセージを見て、ホッと肩を撫で下ろした。
パーティーの参加者からのメッセージではあったが、食事のお誘いではなかった。
もしかしたら、このホッとするという反応自体が、私が求めている幸せのカタチなのかもしれない。
先ほどまでトラウマだとか何とか言っていた事を棚に上げ、そう思えてしまうほどにこじらせ女子は単純なのだ。
またいつもの様に淡い期待をしながら、返信のメッセージを打ち始めた。
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