「モテ」の条件
パシッ!パシッ!
朝から何度叩いただろう。
叩く割には捕まえられず、また叩くの繰り返しが嫌になり部屋へ戻る。
真夏は夕方から活動していた庭の蚊達も、暑さがやわらいできたからか、昼前から活発に餌を求めて飛び回るようになった。
その動きの素早さといったら、水を得た魚のようだ。
蚊の世界では、私は有名人だ。
庭に限らずどこへ行っても、誰よりも先に私に蚊が集まってくるのだ。
私がいれば蚊取り線香はいらないと言われるのも納得するほどで、誰もが認める人気者なのだ。
恐らく、ファンクラブもあるだろう。
あまりの人気にプレッシャーを感じ、その座を降りようと何度も考えた。
しかし、条件が合わずに未だに人気を保持している。
人間の世界では、「モテる」の条件が比較的幅広いのが今の傾向に思える。
一時は”背が高い”、”細い”、”お金持ち”などの外側の条件が目立ったが、近頃はそうでもなくなった。
蚊の世界ではどうだろうか。
調べてみると、その条件は長年変わっていないようだ。
半分はこの条件に当てはまっていた。
そのほとんどが、一度生まれ変わらないと変更できない条件だ。
生まれ持って蚊の世界のスターとなることが運命づけられていたということらしい。
人気者だということが変えられないのであれば、「いかに存在感を消して蚊にバレないようにするか」これに日々の生活の快適度がかかってくるだろう。
様々なグッズを試したが、最も効果があったのは以下の2つだった。
ハッカスプレー:庭に出る前に全身に振りかける
ゼラニウムオイル:部屋でアロマを焚き、香りを服に沁み込ませる
どちらも効果抜群で、快適に過ごせたことに驚きを隠せなかった。
世間では事件や事故など、理不尽な出来事が多く報道されている。
そんな中、蚊に刺されやすいというだけで記事を1本書ける私の世界は、今日も平和に満ち溢れている。
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