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ジュンパ・ラヒリ 小川孝義訳『その名にちなんで』を読んで

自分の名前に本当の意味で恨みを持ったことって、ありますか?

私は結構生きる道を定められてしまったようで、今思い返せば不思議な気分です。

私の名は早苗、妹も植物の名前を名付けられました。父も母も植物が好きで、女の子には植物の名前を、とずっと考えていたそう。

ベンガル語圏の両親を持ちアメリカで育つゴーゴリは、父が自分の出産間近に辛くも死から免れたときにそばにあった本の作家から名付けられる。しかしその呪縛は消えず、改名さえしてしまう。そんな男の、誕生から父になるまでを描いた長編。

有名な人物の名を名付けられてしまった子。

私には子供がいないので想像しかできませんが、もし自分の名前がそうであったら厳しいものがあったなあと思います。

女性も男性も、親になること、子どもや他人と関わっていく時にずっと大切なのが名前で、それからは逃れられません。

ラヒリのような厳しいベンガル語圏の人々ならなおのことと思いますし、本当は自分のありのままを愛してほしいという願望が伝わってくる小説でした。

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