見出し画像

【詩・エッセイ】ふるさとの思い出の雑貨店

こんにちは。長尾早苗です。

今朝、父からメッセージが送られてきて
その時は自分のこころが傷ついているなんて思いもよらなかったのですが、わたしが初めて自分で万年筆を買って、父の書斎から見つけた万年筆の替えのインクを買いに行っていた雑貨店・文房具店「絵里村」が7月末に閉店することに衝撃を受けていました。

おかしいなあ、さっきまで友人と楽しくサクッとランチ会開いて、とっても楽しかったのに。
低気圧は人の心にまで何か影響を及ぼすらしく、なんだかセンチメンタル。
わたしは小学生のころ、絵里村で夏休みも、ハロウィンも、クリスマスも、「何に使うのかわからないけれど楽しい」ものたちに囲まれていました。
とはいえ、買うのは万年筆のインク、鉛筆、ボールペン、スケッチブック。そういった実用的なものばかり。
でも、わたしにはスケッチブックが必要でした。

中学生・高校生だった頃は、今思えばすごいことなのだけど、木坂涼さんに詩のワークショップで一緒に詩作させてもらって、初めて人前で書いた短い詩を木坂さんに褒めていただいたんです。

猫のひげをギターのようにつま弾く、そんな詩でした。
その頃、わたしのふるさとでは若手アーティストの活動を支援するため、図書館で展示会が開かれ、わたしのその詩を自分のイラストと共に展示していただきました。

わたしの詩はいつも、イラストとセットでした。
だからこそ、高校では美術を専攻していたし、初めて詩雑誌に投稿したのは「詩とファンタジー」でした。その頃の選者が大学時代からご縁の続いている城戸朱理先生だったことも、何かのご縁のように感じています。

イラストはこっそりと趣味で続けていて、時折サインに自分のキャラクターを忍ばせたり、絵日記をつけたりしていました。

絵里村のスケッチブックがなかったら。
おいちゃんに詩を放課後に見せていなかったら。
考え出すとふるさとが恋しくて恋しくてたまりません。
わざわざおはがきで、わたしの実家に閉店セールの広告を出してくださって、本当に感謝しています。
気持ちが沈んだ時も、うれしいことがあった時も、わたしのそばにいたのは絵里村のスケッチブックと、絵里村の万年筆のインクでした。

ふるさとを離れて4年になります。
近くて遠い、県境。境目にある坂の多い街で、わたしは大きくなりました。そして、色々なご縁があって、新たな家族と暮らしています。
なんだか泣きたいのは、今日の低気圧にからだがやられたのでしょうか。じっくりお風呂につかって、からだもこころも癒してあげたいと思います。

今、わたしが詩人として活動していること。
母校ももちろんのこと、絵里村もとても大事な場所でした。
大人になってしまったけれど、ずっとずっと忘れません。
近々、ふるさとを訪れて、絵里村さんで買い物をしようと思います。


教えて、

この記事が参加している募集

#今こんな気分

75,565件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?