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瀬尾まいこ『卵の緒』を読んで

私も今月28歳になろうとしていて、なんだか若いお母さんたちの気持ちが少しずつわかるようになってきました。

養子にもらわれた育生は、少年でありながら自分が捨て子だと知っている。しかしお父さんのいない母子家庭で養子として育つも、明るくて個性的なお母さんに助けられ、日々を送っていく。

私が瀬尾さんの小説を読みたい時って、女性ならではの不調の時だったり、自分の体や痛みと戦っていて大変な時に絶対、読むんですよね。

それで、そのやさしい文体に救われて、泣きそうな気持になって、こういうふうに読書感想文に昇華することでなんだか自分も明日もやっていけるぞ!

って気持ちがします。なんなんでしょう。

瀬尾さん自身も、「お父さんがいない」という実体験があるとこの小説のあとがきを読んで初めて知りました。

でも、だからこそ明るい母子家庭の話が書けるのかもしれないし、独特のやさしさで家族のことを書けるのかもしれないです。

育生君はいろいろわかってしまう年ごろだけど、「人間が月に行く時代よ、子どもを卵で産むなんてできるわよ」と笑い飛ばすファンキーなお母さんも、素敵だなあと思います。

家族って、これから作っていくものだし、人と人が出会って何かしらの心の機微があって、また書けるものができていくように感じます。

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