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【詩人の読書記録日記】栞の代わりに 青空文庫特集! 1月16日~1月22日

はじめに

こんにちは。長尾早苗です。ご時世も移り変わっていき……。しかし今週の火曜日は満月ですので、美容院に行ってきます。というわけで移動図書館に行けないので、今回は「ソラリ」というアプリを使い、青空文庫特集でスマホ読みをしていきたいと思います。今週もよろしくお願いします。

1月16日

時間を作ってくれた相方さんと近くの寄席に行きました!
わたしが落語好きなの知っていてくれてうれしいです。
そして開かれてよかった……。
朝に津波のニュースが入り……みなさんご無事でしょうか……。
朝はそのことばかり考えていたので、みなさんに届けることばとしてラジオで山本文緒『自転しながら公転する』の一節をご紹介しました。


・柳原白蓮『私の思い出』

朝ドラをよく見ていたころの話。
わたしが白蓮という女性歌人に出会ったのは朝ドラ「花子とアン」でした。
書かずにはいられなかった女の子として、「赤毛のアン」の翻訳者の村岡花子を吉高由里子さん、そして白蓮を仲間由紀恵さんが演じていました。親友という設定でしたね。
あれは……大人になって思い返すと白蓮の気持ちもわかるし、25歳離れた夫が白蓮の愛し方をわからなかったというのも結構しんみりポイントなんですが。
そんな彼女が老年になって書いたエッセイです。
夫と暮らしながらも彼氏ができて出奔するという当時にしてはびっくりするニュースでしたが、それだけ彼女も「恋」・「短歌」というものに憧れがあったのかもしれません。息子を戦死させてしまった悲しみというものがひしひしと伝わってきます。
仲間由紀恵さんの名演技を思い出しました。

・泉鏡花『芥川龍之介氏を弔ふ』

泉鏡花が芥川龍之介の死に伴って書いた短編コラムです。
ソラリでも7ページしかないのですごく短いんですが、わたしの知らなかったたくさんの語彙を並べて、鏡花流といいますか、ちょっとファンタスティックな詩文になって弔いのことばを述べているんですよね。
芥川龍之介という作家の偉大さは当時ものすごいものだったとも思うし、芥川を喪うというのはかなり当時の作家たちに打撃を与えたんだと思います。

・泉鏡花『浮舟』

女郎屋とろくでなしの六という男の物語です。
泉鏡花は読点の使い方が特徴的でして、これで行わけしたら詩だなあ
と思うところももちろんありますし、彼のなかではもしかしたら散文詩として小説を書いていたのかもしれません。
人の情け、生き死に、そういったものをなまの目線でとらえること。
それをある種きれいな世界へと昇華させること。
鏡花ファンタスティックともいいましょうか。
まさに鏡と花のようにことばが香水のように匂い立ってきます。

・高浜虚子『斑鳥物語』

虚子が法隆寺に行った時のエッセイとなります。
わたしは虚子のことを俳人としてしか知らなかったので、よい機会でした。
俳人・歌人・詩人の目線だと、日々の観点が少し小説家や書き手ではない人からずれるんです。
だから詩人・俳人・歌人のエッセイって面白いんですよね。
日記的といいますか、わたしたち詩文を書く人たちはいつでも筆記具で何かをスケッチしている生き物なので、虚子もきっとそうだったんじゃないかなあと思いを馳せます。

1月17日

ちょっと活動的になりすぎて逆に疲れてしまって気が滅入っていました。
30代を目の前にして、からだの変化が激しくて。満月の前の夜は色々と調子にでるなあと。
それでもなんとか作り置き料理ができて、満月に備えられそう。
時にはそんなこともあるさ。原稿に書けばいい。新作二編。

・中原中也『散歩生活』

「女房でももらってシャッキリしろよ、シャッキリ」
妻と別れたばかりの中也が夜に飲み屋を転々としながら紡ぐエッセイです。
確かに中也にも風来坊みたいなところはありまして……
それでも彼には「詩を書き続けていく」「自由に生きる」
という使命のようなものを感じていたんでしょうか。
いくら酒乱でも、煙草をやめられなくても、自分には色々あったけれど「自由」があった。それが中也の答えなのかなと思います。
現代を生きる詩人としては中也と同じくらいの年にわたしもなってきたので、
「第三詩集楽しみにしてます!」くらいのメールを中也が現代に生きていたら送っていたかもしれません。(笑)
男性詩人一人で生きていくこと、生活のスケッチであることを本当にわかりやすく書いている一冊になります。

・高浜虚子『五百句』

ボリューム……!
虚子の句集は何かと体力を使います。
これから『五百五十句』『六百句』読むのに大丈夫なのかわたし。。。
いつだったか、ツバメノートというわたしが愛用しているノートのホームページを見てみたときに「句帳」というノートを発見しました。
俳人の方では一年に何冊も使う方も多いとか……
生活のスケッチを歳時記と共に歩むという定型詩が俳句だと思っています。
高浜虚子について読んでみようと思ったのは仕事をご一緒させていただいた宮崎智之さんとのツイッターでの会話においてでした。
印象に残った句をみっつほど。

先生が瓜盗人でおはせしか 虚子

星落つる籬の中や砧うつ 虚子

コレラの家を出し人こちへ来りけり 虚子

・萩原朔太郎『田舎の時他十二編』

「坂」「大井町」など、印象深い散文詩的な文章が並びます。
朔太郎が大事にしていたのは中也と同じく「散歩」による「土地」にたいする「のすたるぢや」なのかなと思いました。
土地の思い出やそこでの記憶は、散文詩にするのが難しいんです。
いくらかテクニックも必要だし……
朔太郎の生き方はいつも「美しさ」を見ているような気がしています。
スケッチするように歩く。
声をかける。
そういった日々の生活がだいじなんだなと思います。

・中原中也『芸術論覚え書』

芸術家にとっての生活・文筆への姿勢が描かれたエッセイです。
芸術家にとっての幸福がどのように影響を作品に与えることができるのか、または生活していくにつれ、どんなことを書けばいいのか。
結構真面目に語られています。
中也自身、医者の名家の息子ですので、自分が「詩人となること」についてかなりの葛藤があったんじゃないかなと思います。
医者として稼ぐということと、精神世界は豊かになるけれど、生活は潤わない詩人になること。
それでも中也は「詩人」に憧れを持ち続け、詩壇の世界にいました。
心の豊かさと「稼ぐ」というものは比例しないことが多々ありますが、それでもがんばっていけるのが詩人の使命だとわたしは思っています。
うん、わたしもがんばる。

・高浜虚子『五百五十句』

そうか、えんぴつと紙があればいつでもどこでも詩歌はできるんだ
という当たり前のことに気がつきました。
この句集は旅をしながら書いた句、句会で発表した句、生活の中で「偶成」した句が並びます。
やっぱり詩歌を書く人にとってとても「旅」や「歌会」「句会」などは大事で、詩にとってはそれが「合評会」なんですよね。
今は旅に行きにくいご時世になってしまいましたが、合評会はオンラインでできるので、みなさんが紙に閉じ込めた世界を今度また見られて語り合うのがとても楽しみです。
イベントなどに行った後、そして旅に出た後の詩も俳句もとても面白いので、今のこのご時世が落ち着けばいいななんて思います。

・高浜虚子『六百句』

一行で日記を言い切れるってかっこいいなと思ってしまいます。
わたしは散文で日記を書くのですが、アナログの文字数制限がないTwitterみたいになってるんですよね。
季語があって、文字数制限があって、その中で日常や旅を詠めるってすごいと思うんです。
虚子には鎌倉や小石川植物園など、特に気に入っていた場所ではよく詠むように思います。
確かにわたしも行ったことはありますが、いい場所ですよね。
最近はわたしも毎日のウォーキングで手帳を持ち歩くようになりました。
短歌ではないんですが、自由律の詩歌を書き留めて、次の朝に詩文にしてWordに清書という作業がかなり好きです。
日記と思われない程度まで推敲を重ねた詩句はわりと良い作品になることが多いです。がんばります。

1月18日

昨日今日と満月のおかげで活動的です。
ちょっと睡眠不足になってしまったり……わたしはよくあるんですけど、みんなどうなのかなあ。
ひとまず眠れない時はアウトプット。
絵を描いたり、原稿を進めたりします。
二か月ぶりの美容院なので髪を切って染めてきました!
いつもの美容師さん、本当にありがとう。
夜は本当に満月の力が強く……わたしはアスリート体型なので、水分を多くとるため、色々気をつけてはいるんですが、色々と大変でした。新作二編。

1月19日

YouTubeチャンネルで詩の朗読を個人でしています。
前は色々自分に制限をかけていたけれど、わたしが今発信したい思いが結構たまっていて。
ツイッターのように日記を書くし、日記のように詩を書くし、日々生きるようにYouTubeも発信しています。
ひとつ1分程度なので、お好きなものから聞いてみてください。

会社で働いているみなさんとなかなか時間が合わず、今みんなわたしの友達は仕事・恋愛・家事・育児・他のひとのケアで大変なので、なかなか一人の自由時間が増えてしまいます。
そういう時がちょっとつらくなる時もあり……
共に暮らす人と孤独をわかちあって、書いているところももちろんあります。今日は作品群の推敲もしました。イベントに向けてがんばるなど。寒いですね……白菜と鮭を食べてあたたまりました。新作二編。そうしたら少し気分が晴れました。


1月20日

イベントがオンライン開催でよかったなあと思いつつ、のんびりとした気持ちで原稿を進めました。
新作は推敲が必要なので、少し寝かせています。
他の人とほどよい距離でいられるように、自分もここちよくいきたいと思っています。
本当は友達と会いたいし、電話もしたいのだけど……
友達ともSNSでしか近況がつかめなくて、LINEしようにもお互い仕事は忙しいのわかってるから、バーチャルを超えられないんです。
今日は柳原白蓮のエッセイについてすこし語りました。


でも、リモートワーク中の相方さんがいるからきっとわたしは大丈夫なんだろうな。
図書館のスタッフさんと少し本の話をしました。こういう時に好きなもので盛り上がれるって最高!
明日の24時をイベントの原稿締切にしているけれど……朝早くでも起きられるかなあわたし。今週末、オンライン合評会のイベントの司会をします。みなさんとリモートで会えるの、緊張するけれどたまらなく楽しみ!
夕方のSNS解禁時間、とっても楽しかったです。おしゃべりしてくれたみなさま、ありがとうございました。

1月21日

昨日あたりからよく眠れるようになって、たぶんリアルで相方さんの思い出話をきけたことやこれからのことに期待を持っているからだと思うんですよね。
イベントの原稿締切なのでしっかり行きたいところです。
あと、わたしが今までリアルで会ってきた詩人や歌人さんの詩集や歌集を読んで、思い出に思いっきり浸れたからかもしれない。
またこんなご時世になってしまいましたが、オンラインでも人と人をつなげることは大事だなあと思います。
なんだかすごくいい会になりそうな予感!わくわく。

1月22日

みなさんの原稿を読みつつ、しあわせな時間でした。
昨日さすがに24時まではおきられず……
それでも集まってきた原稿が素晴らしくて、順番を練るのにわくわくしました。
やっぱりオンライン合評会の運営はいいなあ。
時折他のことも重なってつらくなってしまうことはあるけれど、
でも、やってよかったと思える会にしていきたい。
色々不安なことは気軽に相談できるので、仲間がいてよかったと思います。
ちょっとアウトプットしたかったので、来週テキストで発表する本の紹介や近況を話しました。

ゆったり構えていくしかないんですよね。
早めに眠りました。
明日はがんばろう!

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