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西條奈加『睦月童』を読んで

舞台は昔の日本。

一か月帰ってこなかった店の主が連れてきたのは、イオさまと名乗る不思議な田舎者の少女。彼女の目に射すくめられると、ある者は吐き気や悪寒を催し、自分の罪を告白する。そう、イオは神通力の持ち主だったのだ。そんなイオと一緒に暮らしていく中で、イオも成長していく。

はじめはイオが怖い印象がありましたが、いくら神の子であるとはいえまだ子ども。

遊びたくてたまらない様子や、外に出て他の子どもと一緒に遊ぶ様子は、まだまだ田舎者の子どもです。

そんなイオの真っ正直さに震える大人たち。

ぶるる。私もどこでイオに見られているかわかりませんね。

悪いことできないや。

真っ正直、というのは、大人になってから忘れられてしまった感覚なのかもしれません。

イオの神通力のように、大人になったらできなくなることってたくさんあって。私たちは「普通」や「空気を読むこと」をいつの間にか強要されて大人になってしまったような気がします。それが社会というものかもしれません。文藝はその「社会」に疑問を呈したり、警鐘を鳴らしたりするものだと私は思っています。


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