瀬尾まいこ『春、戻る』を読んで
立春の日に読みました。
ちょうどその日はぽかぽかに晴れていて、カラッとしていて、でもちょっと寒い、そんな日でした。
私自身は周期的な体の痛みと戦いながら、瀬尾さんの家族の物語に救いを求めていました。
よく、どろどろとした人間関係を描いた作品が好き、という友達だったり家族だったりがいるのですが、私は結構のほほんとした小説の方が好きです。
主人公のさくらの前に突然現れる12歳下の「兄」。さくらは結婚を控えていたが、自分のふいに現れた「家族」にびっくりしてしまう。結婚、家族、暮らすこと、これから「家族」を作ること。
私自身、結婚して書くものが変わったな、と思います。
新婚当初から、今まで。暮らし始めてから、籍をいれるまで。
いろんなことがありました。
それでも、そんな日々を、20代後半になって、30代になるにつれ、心も体もどんどん変わっていく私を、ずっと支え続けてくれた夫には感謝しかありません。
この小説に出てくる「お兄さん」はぶっ飛んでいて結構面白いのですが、こんな人が実際にいたら大変だよな、と思う一方、こんなパワフルな人がいたら毎日笑顔で暮らせるな、と思います。
私もさくらと似たようなところがあって、それでもやっぱり、照れくさいけれど二人暮らしは、家族になっていくことは大変だけれど幸せです。
それは多分人が生きていく中でほんの一瞬しかないきらめきのような時間だ、と大先輩の詩人さんに言われました。
私が書く詩は、そういう「ほんの一瞬」を書いている、と。
そうだなあと思います。たぶん、今は私の中で、春なんだろうな。
10代から20代にかけて、病気があったり家族との別れがあったり、色々大変だったけれど、それでもやっぱり、生きていてよかったと思えるんです。冬の時代でした。まだまだ若いといわれていたけれど、冬でした。
やっと来た春に、私自身驚きを隠せなかったのですが、今は夫と暮らす些細な幸せに助けられています。
もうそろそろ4日前から育てはじめた豆苗が芽を出す頃、わくわくしながら今日を乗り越えていきたいと思います。
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