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【エッセイ】現代詩手帖2022年12月号年鑑 今年度の収穫に掲載されました!!

こんばんは、長尾早苗です。
明日から月曜日で、何かと立て込んでいるのですが、年始の新しい合評や新しい活動へ向けて制作中です。

今回のエッセイは「年鑑の今年度の収穫」について。
それと今の近況を書いてみようかなと思います。

年鑑とは?

年鑑。それぞれの詩雑誌が出している12月号のことを、一般的に「年鑑」といいます。大手なのは『現代詩手帖』と『詩と思想』。巻末に住所録が載っていたりして、詩人にとっては詩集や詩誌を出した後の献本先・送り先がわかりやすくなっています。
住所録を集めるのも楽しいですし(同人誌を作った後献本する宛先ということで)、今年度の収穫や今年度の「今年の顔」となった詩を読むのも勉強になります。
ちょっとお高めの値段設定が多いのですが、図書館で借りるよりも「今年の顔」となった詩や、今年注目された詩誌・詩などがわかりやすいので、買ってみるという手段も一つかなと思います。
ちなみにわたしが同人誌や詩誌を作っていたころは、大学の図書館に冬休み中に赴いたり、主宰の方が年鑑を買っていたり。仲間と一緒に献本作業をすることがとても楽しくて、そういう意味で休み期間に集まるきっかけとしても、年鑑はわたしの憧れでした。

今年度の収穫とは?

年鑑のお楽しみは住所録や今年の詩ばかりではなく、今年度の収穫というアンケートコーナーがあります。
今年の五冊・今年よかったと思った詩・今年気になっていたor紹介したい詩やアートの三つを詩人の大御所にアンケートをするんですね。
今年は本当にいい詩集や、待望の詩集がたくさん出て、詩集を買ったり読んだりしているわたしにとっても幸せな一年でした。
その中の流れにわたしの詩集『フレア』(七月堂)を出せたというのも喜びですし、アンケートでわたしの詩「ゆらめく」を挙げてくださった石田瑞穂さん、今年の五冊に『フレア』を

生きるための言葉。そのままの吐露を受け止めた。

現代詩手帖2022年12月号(思潮社)より

とコメント付きで紹介してくださった北爪満喜さん、本当にありがとうございます!

詩集を出したら……の献本文化、若い書き手のみなさんへ

今は『インカレポエトリ』『インカレポエトリ叢書』の潮流や、よい印刷所から気軽に製本できることもあって、若い書き手のみなさんがカジュアルに詩集を出すことがより多くなってきたなと感じる昨今です。

わたしもそうやって詩誌を作ってきましたが、なんとなく「個人作品集」として詩集を出すのは若いうちにはしたくなかったことでした。だからこそ、二十代最後に三冊立て続けに出したという経緯があります。
色々理由はあるのですが……それはまた今度お話ししましょう。

詩壇(詩界)には「献本文化」というものがあり、とても根強く仲間意識を持ちながら詩を書き、本を出版し、送り合い、感想のお手紙を送り合う文化が昔からあります。

わたしが個人出店をしていて思ったのは、文学フリマでも私家版を出している若い書き手の皆さんの中に、とてもきらきらと光るものがあるんですね。
そういうものをとても大事にしてほしいのと、自分の作品を誰かに読んでもらいたいという熱い思いをひしひしと感じていました。
でも、だからこそなんですが、年鑑の巻末の憧れの詩人の方々に献本したり、詩集の価値を自分で知っていってほしいということ。自分で作る詩集は作っただけで喜びがあるのですが、それにともなって、読んでくれる「書き手」を見つけることも大事です。
もちろんたくさんの詩集や詩誌がプロの詩人の方こそ送られてくる回数が増えるというのもありますし(谷川俊太郎さんの家のポストの大きさは小学生が一人かくれんぼできるなんて噂もあります……本当かしら)、自分がよい読み手になれば一番いいのですが、そこまで行くのにほんっとうに苦労します。自分の作品集が読まれずに困っている、なんてこともよくありますよね。確かに紙媒体にするとインターネットより印刷費もかかります。でも、「自分が所有していること」「誰かが自分の詩を持っていてくれること」「自分がいなくなった後も残るもの」として、紙媒体はずっと残ると思っています。

近況

最近頑張り過ぎと病院で言われてしまって、今日は一日眠っていました。
お医者さんのいうことには逆らえませんね……。十二月は仕事をペースダウンしています。それでも、一日のうちに動ける時にはスマホのメモ帳かパソコンに向かい、年始への制作に向けて推敲・制作・推敲の毎日です。
今の自主制作はだいたい一日十編。集中しすぎてしまうのがたまにきずなんですが、バスで行ける作業場所のみなさんとももう半年のお付き合いなので、わたしがサクッと一時間だけ作業場所で作業していても、雑談していても、わたしを「作家」とか「詩人」として特別に扱わないので、今いるところは本当に気楽です。いつしか「さなえさん」として普段から雑談相手になっていたり、プライベートのことまで話せる地元のコミュニティの一員として迎え入れてくれたり……ありがたいです。
最近は朝寒くて、朝にウォーキングに行くことはあまり少なくなりました。だいたい暖かくなってから行くのですが、作業場所の散歩仲間に聞いてみると「冷たい風がリフレッシュできる」なんて意見もあったりして、これから冬時間、迷いそうです……。

これからどんどん寒くなっていくシーズン、よい詩集がたくさん出たので、どんな詩集がどんな評価を受けていくのか、非常にどきどきわくわくしています。

個人の幸せとしても、自分の日々が少しでも色づいたものになっていくよう、詩人は常にアンテナを張り巡らせている必要があると思っています。
個人の幸せ、そして書き手としての幸せ。これは同値というわけにはいきませんが、「幸せな生活者であること」は「書き手の次」につながってくると思っています。

今年はそんなこんなで、明日が最後のヘアカットとなりました。来週末には新しく始まった活動として、日本詩人クラブでのわたしの最初の例会があります。うまくみなさんとお話しできるのかとても緊張しますが、どうかあたたかく迎え入れてくださるとうれしいなと思います。

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