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小川糸『とわの庭』を読んで

あともう少しで立春。

春って、考えるだけでわくわくするし、うきうきとしてしまいます。

そんな、陽の光のような本なので、ぜひ紹介させてください。

目の見えない少女とわは、母親と10歳になるまで一緒に暮らしてきた。母はとわに一心の愛情をそそぐが、離婚したオットとの事情もあり、母親がとわを置いて働くことになる。しかし、とわのもとへ帰ることはなかった。とわはなんとか成長し、一人で人生を切り開こうと、外へ出ていく。そこで出会う人々は、様々な人がいるけれど、とわに大切なことを教えてくれる人ばかりだった。

おお~あらすじにするとすごいぎすぎすとしてる……なんですが、本当にとわの受けた愛は大きくて、とわ自身もいつも「光を探そう」としている様子が健気で愛しいんですよね。

人との出会いは、ある種自分自身で切り開いていかなければいけないものなのかもしれません。

とわのように、家を出ること、そして自分自身に課していた重荷をどこかで分かち合っておろすこと、殻を打ち破っていくこと。

とわももちろんそうですが、私達も、先が見えなくて追い詰められている、どこかで息苦しい思いを抱えている人が多いのではないでしょうか。

そんな中で、陽の光を探していくことは、大事なことですし、難しいことでもあります。

その時に、そっと晴れた日のお日様を思い出せるようであってほしいなと思います。

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