EX1話:『企業戦士 東野』08
「でサ。その後また社長直々に呼び出されてさ。激励の言葉をもらったってワケ。まー、ケツが痒くてまいっちゃったもんよ。カンベンしてホシーよね、ああゆうの」
大宮駅東口、例の居酒屋である。今日は洋酒のフェアだとかで、亜紀にしては珍しくウィスキーをあおっている。
「ふうん。それはまた大変だったね」
篠宮はと言えば、白ワインを一杯開けだけで、あとは専ら亜紀の聞き役に徹している。亜紀が知る限り、もともと酒の強い男ではない。飲めば必ず、独走する亜紀を篠宮が見守るという形になるので