猫町すみす

好きなこと 抽象画、詩、写真、うた、朗読……などなどむにゃむにゃ 創作をのんびり楽し…

猫町すみす

好きなこと 抽象画、詩、写真、うた、朗読……などなどむにゃむにゃ 創作をのんびり楽しんでいきます。

最近の記事

愛猫と愛犬を思う

 祖母の家で買っていた、柴犬のふじとビーグルのマギ。ふじはこころ優しい、顔立ちの美麗な柴ちゃんで、マギはとにかくやんちゃだった。  名前の通り、魔法のように鍋いっぱいの油を飲み干してしまったこともあった。  いや、その後お腹をパンパンにして、祖母が苦労して吐き出させていたけども。  小さいころはどちらかとよく散歩に出かけたもので、特にふじと仲がよかった思い出がある。  今も柴犬と出会うと、お顔立ちやスタイル、しっぽのくるんと具合をチェックするのが癖で、他人様の柴ちゃんをじろ

    • 心内日記 2019/8/22

      俺もわたしも僕もわしも、全て幻想の中にしか存在しない。 表層は肉体ではない。 フランス人形が金切り声で切りかかってくる。 「僕らが君の味方だと思っているなら、大きな間違いだよ」 胸に指を突き立てて、青い心臓を宿した少年は言い放って暗闇に消えた。 変わり映えしない心内人物。 ……ほんとうに? その少年は、この間潜った時と同じ子だと言い切れる? 積み木遊びする三歳児の顔を覚えている? 少女の髪はそんなに長かったっけ? 猜疑心が歪んだ黒い怪物を生み出す。 何度も崩壊して萎んで

      • 心内日記 2023/2/7

        深層にある扉は半透明のべとべとに覆われていた。べとべとはなんとも美味しそうな匂いがしている。 恐るおそる口に入れてみると、見た目に反してとてつもなく美味しい。 目に見えて腹が膨らむほど、べとべとを食べ尽くすころに、ぐぎぎとノブが回り、揺らすとめこっと音がして、扉が開いた。 ゆるやかに風が吹いているようで、積もったほこりが暗い空間から煙のようにこちらに這い出してくる。 急に腹痛が襲ってきた。パンパンの腹を見れば仕方がないように思えるが、これは尋常ではない痛みだ。 息も絶え絶

        • 見上げる

          まだ死んでない 目を開ける 薄暗い天井 そこら中 散らばる薬 ビール缶 灰 灰 灰 まだ死んでない 指が取れる 体が揺れる 取れた指は 崩れて灰に 揺れる体は 更に大きく 柱にドカリ 真っぷたつ まだ死んでない 下半身泳いで じたばた 垂れ流れる体液が 灰に 灰に 灰に 爪先がビール缶を倒し ガシャンカラコロコロン まだ死んでない まだ死んでない まだ死んでない 己はまだ死んでない ゴミ溜めの部屋から 頭部が抜け出す ヒュルヒュルと浮遊 隣の芝生に漂着 あおいあおい

        愛猫と愛犬を思う

          折れまがる夜

          ぽっきりと折れてしまったよ 白鳥の首が根元から 飴細工の羽根で搏いて 冷たい床にぶつかって 脳内行動をキャンセルする 沈黙の数瞬に じくじく雨が降り募る 冥い木陰の逢瀬の末を見ている どろどろに引き伸ばされた 顔と声を喰らえ 路面に猫は現れず しけもく放って 家に帰るよ さみしいよるだね

          折れまがる夜

          さよならについて考える。 順当に階段を登って、光に向かって脱皮できたら、さよならできるのだろうか。 光を受けながら、翳の裡を掬いとることはできないだろうか。 なぜ光と翳には境があるのだろうか。 曖昧を見失うことは、明暗のどちらをも見つめていないということかもしれない。

          さよならについて考える。 順当に階段を登って、光に向かって脱皮できたら、さよならできるのだろうか。 光を受けながら、翳の裡を掬いとることはできないだろうか。 なぜ光と翳には境があるのだろうか。 曖昧を見失うことは、明暗のどちらをも見つめていないということかもしれない。

          細胞、生い茂る、血脈

          ひとつひとつは 見つめている ひとつひとつは 記録している わたしたちは 生きている

          細胞、生い茂る、血脈

          さよなら小夜子

          これは、未来の夢の話。 冷蔵庫の中には、納豆とミートボール、えのきと牛乳、白ねぎとキャベツ、たまねぎ・にんじん・じゃがいも・豚肉……その他、約15の調味料。 掃除はあまり頻繁にはできないが、布団のカビ対策と棚の上のホコリ対策、クローゼットの中の衣類の虫食い対策、台所の王様対策など、衛生面を気遣う余裕ができた。 食事づくりや洗濯や食器洗い、トイレ掃除や風呂掃除は、ヘルパーさんの力を借りて、なんとか日常は回っている。 朝起きて、夜ねむる。蜃気楼の向こうにあるように思われて

          さよなら小夜子

          深夜、走る高速で

          誰もいない、走っていない 快調に飛ばす 高速で 左右に揺れる 居眠りトラック とっくに 追い越して 標準時子午線あたりの パーキング 無性に声を 上げたくなる あ、あ、あ。 わ!わ!わ! それでも 目を閉じる 鍵をかけて 休息から ゆるやかに滑り出す うたえ、おどれ 深夜、走る高速で

          深夜、走る高速で

          心筋

          絶えず受け取っている情報や感情 分析・整頓し、腑に落とす こころの筋肉を育てる たくさんの色を持つこころには 逞しい筋肉がついていることだろう

          ひかりあれ

          いのちは発光する 眩むのは目を逸らさないから 閉じた暗がりに 耀く自身を

          ひかりあれ

          わたしのそうさく

          コンコンコン。ノックしても、空っぽの部屋。 扉を開けて、見渡しても。空っぽの部屋。 オフホワイトの壁とガラス張りの床。足下は果てしなく空。 手繰っても手繰っても、同じ色の毛糸。 端にたどり着いたら、終わる。 それがなんなのか、わからないけど。 あかむらさきの毛糸を、一心に、くるくるくるくる手繰って手繰って。 まわりに、もじゃもじゃぐるぐるしたのが、いっぱいできた。 こんなことが、一生かけても終わらない。 「水遊びしようよ。空に雨を降らせてさ。それを君の涙にすればいい。」

          わたしのそうさく

          まあるねこ

          まるまる まるる ねこまるまる ひなたに こたつに ねこまるまる ふわふわ もふもふ おけけがふわり ころんと おなかが まるまるまる おみみピンッと たてたて とことこ なにをみつけて どこいくの? フスフス フンス ごあいさつ ざりざり すりすり けずくろい ころり ころげて ねこねこパンチ あぐあぐ あまがみ ころころり ぽかぽか おひさま とろり とろとろ おかお ごしごし まるごろにゃあ

          まあるねこ

          胸中をぬめる

          胸中をぬめる

          向こうの際

          腕を振る 先端に淡く ひかりを湛えた棒切れで お前の姿の獣を払う 鳥が飛んでいく 泣いているのは 水に落ちた銀貨 腫れ上がって 漏れ出して 事切れるまで それほどない 幻惑の霧に 連れて行かれる 息は戻ってこない 深い森の中 血を流すことなく 埋没していく

          向こうの際