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猫の性格〜ニャーソナリティ〜

都会の猫は日々ストレスにさらされています。

なぜなら、なわばりを一緒に住んでいるまたは近所に住んでいる他の猫や犬と共有しなければならず、自分の思うようにできないことが多いからです。

猫の性格を理解してはじめて、その猫にとって適切なストレス緩和を行うことができます。

例えば、多頭飼いの場合は猫たちのグルーピングのしかたを工夫する、神経質な性格の猫には隠れる場所を設置するなど。

それだけでなく、猫を引き取る際に、猫と飼い主の相性を事前に知ることにも役立ちます。

とはいえ、この論文のポイントは、従来は人と猫の関係をベースに猫の行動が調べられていたのに対し、今回は人との関係に限定せず(同居する他の動物との関係や環境的要因にも適用できるように)猫自身の性格について一から調べ直したことだと思います。

調査の概要

調べた方法は、2802匹の猫の飼い主に自宅で観察、記録をしてもらい、そのデータを数理的に分析しました。
調査の結果、猫の性格には5個の要素があり、神経質、外交性、支配的、衝動性、同調性でした。

猫の性格の5要素

[1] 神経質 怖がりやシャイに関係
[2] 外交性 好奇心や賢さに関係(※辛抱強さなど自己コントロール能力にも関係)
[3] 支配的 他の動物へのいじめや攻撃に関係
[4] 衝動性 きまぐれや向こう見ずな行動に関係
[5] 同調性 懐っこさや優しさに関係

この5要素のどれかのスコアが高いまたは低い特徴がある場合、その特徴に応じた対処をすることでその猫に合った生活環境にしてあげることが可能です。

猫の性格に合わせた対処の例

例えば、神経質のスコアが高い猫の場合、前述のように隠れる場所を設置することでストレス緩和につながります。逆に神経質のスコアが低い猫は、外に出すと遠くに行きやすく、怪我や感染症のリスクが高いのでそれを防ぐ対処が必要です。

外交性のスコアが高い猫ならば、退屈しないように刺激の多いおもちゃなどを与えると良いです。外交性のスコアが低い猫は、認知や健康の問題のサインかもしれません。

衝動性のスコアが低い場合、猫は環境によく適応しており、高い場合は猫にとってストレスな環境である可能性があります。

同調性のスコアが高い場合、猫は幸せであることを示しており、低い場合は不満や身体的な痛みを感じている可能性があります。

このように猫の性格を客観的に知り、適切な対処をすることで、猫の生活の質の向上につながります。



もとの論文
Litchfield CA, Quinton G, Tindle H, Chiera B, Kikillus KH, et al. (2017) The ‘Feline Five’: An exploration of personality in pet cats (Felis catus). PLOS ONE 12(8): e0183455.

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