ねこ研究所

インターネットで猫についてデタラメな情報があふれていることに問題意識を持ち、 猫につい…

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インターネットで猫についてデタラメな情報があふれていることに問題意識を持ち、 猫についての最新の研究をわかりやすく紹介します。

最近の記事

飼い主が守るべき猫の5つの自由

ケンブリッジ大学によるリビュー論文です。 リビュー論文とは、たくさんの論文からの情報をまとめたものです。 通常、研究にはどうしても研究者の意図が影響してしまうのですが、たくさんの研究の結果を見比べながらパズルのピースを埋めていくように、研究の全容が見えてくるのでとても役立ちます。 とても長いので何回かに分けて書いていきます。 さて、遡ること1965年、全ての家畜動物の幸福を守るために、「5つの自由」が提唱されました。 5つの自由とは、 1. 喉の乾きや空腹からの自由 2.

    • 猫は一頭で飼ったほうがいいの?複数頭で飼ったほうがいいの?実は人間の数が問題だった

      ネコ科はもともと群れを作らないので、一頭で飼ったほうがいいという定説があります。 一方で、猫は複数で飼うことをおすすめします、と主張する保護団体もいます。 しかし、室内飼いの猫どうしの関係について調べた研究は非常に少ないです。 今回紹介する研究では、猫の尿に含まれるコルチゾールの量を調べ、一頭で飼われている猫と複数頭で飼われている猫のストレスレベルを比較しました。 コルチゾールとは糖質コルチコイドという物質のひとつであり、ストレスによって引き起こされる視床下部-下垂体-副

      • 猫にも新型コロナウイルスは感染するという研究

        新型コロナウイルスが世界的に蔓延し、私たちの生活にも大きな影響が出てきています。 そんな新型コロナウイルスと、猫に関する衝撃的な研究結果です。 フェレット、猫、犬などに対して、新型コロナウイルスに感染するか実験を行いました。 ※感染症の特性を調べるためとはいえ、私は動物実験には反対です。 実験から、フェレットと猫は新型コロナウイルスに感染しやすく、犬は感染しにくいことが発見されました。 また、豚や鶏には感染しないことがわかりました。 猫どうしでは、空気感染することも確認さ

        • 猫の性格〜ニャーソナリティ〜

          都会の猫は日々ストレスにさらされています。 なぜなら、なわばりを一緒に住んでいるまたは近所に住んでいる他の猫や犬と共有しなければならず、自分の思うようにできないことが多いからです。 猫の性格を理解してはじめて、その猫にとって適切なストレス緩和を行うことができます。 例えば、多頭飼いの場合は猫たちのグルーピングのしかたを工夫する、神経質な性格の猫には隠れる場所を設置するなど。 それだけでなく、猫を引き取る際に、猫と飼い主の相性を事前に知ることにも役立ちます。 とはいえ

        飼い主が守るべき猫の5つの自由

          きっかけ

          猫は犬と並んで人気の愛護動物です。 猫とともに生活していく上で、彼らの行動の意味は何だろう、適切なケアの方法はどんなだろうとインターネットで調べる方も多いと思います。 しかしインターネットには、猫について科学的知見に基づかないデタラメな情報があふれています。 私は猫を家族として迎え入れるにあたり、今後猫についてわからないことや困ったことに直面することがきっとあるはずなので、その時に適切な知見に基づいて対処できるように備えたいと考えました。そこで、最新の論文を読んで勉強し、猫に