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飼い主が守るべき猫の5つの自由

ケンブリッジ大学によるリビュー論文です。
リビュー論文とは、たくさんの論文からの情報をまとめたものです。
通常、研究にはどうしても研究者の意図が影響してしまうのですが、たくさんの研究の結果を見比べながらパズルのピースを埋めていくように、研究の全容が見えてくるのでとても役立ちます。

とても長いので何回かに分けて書いていきます。

さて、遡ること1965年、全ての家畜動物の幸福を守るために、「5つの自由」が提唱されました。
5つの自由とは、
1. 喉の乾きや空腹からの自由
2. 不快からの自由
3. 痛み、怪我や病気からの自由
4. 通常の行動をする自由
5. 恐怖やストレスからの自由

しかし、4番目と5番目はなかなか難しいです。猫にとって野生の小動物をハンティングすることは通常の行動ですが、室内飼いではそれができません。また、猫の恐怖やストレスをすべて把握することはできません。

そこで、ある研究者は、5つの自由をもとに具体的に満たすべき条件を考案しました。

1.すべてのライフステージに応じたバランスのとれた食事と新鮮な水を与えること

2.十分な空間、暑すぎたり寒すぎたりしない、十分に光の当たる、雑音の少ない、清潔な環境で飼育すること(屋内のみか屋外へのアクセスも可能)

3.ワクチン摂取、去勢や不妊手術、寄生虫の駆除、マイクロチップなど個体特定、何かあればすぐに獣医師に診てもらうこと

4.他の猫や人間に対する通常の行動を許すこと

5.恐怖やストレスにつながりそうなものを防ぐこと


4番目の条件はいったい何のこと?と思いましたが、猫の通常な行動、つまりワイルドな行動を増やすことは、猫の心身の健康を向上し、幸福につながるそうです。

4番目と5番目の条件は、環境に関する2番目の条件の影響を大きく受けます。
そこで、猫のワイルドな行動を増やし、飼い主との関係を改善するために、どのように環境を充実させるべきかを明らかにしています。

次回は、環境を充実させるための具体的な指針についてご紹介します。


もとの論文
Rochlitz I. A review of the housing requirements of domestic cats (Felis silvestris catus) kept in the home. Appl Anim Behav Sci. 2005; 93: 97–109.

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