極東から極西へ11:カミーノ編day8(Viana〜Navarrete)
前回の粗筋
ビアナでへべれけになる。
前回
今回はナバレッテまで。
距離は大体20km。本来やっぱり28kmくらい歩かなくてはならないのだが、一歩手前でストップ。
・Viana〜Logrono
ビアナの街をスタートする。
昨日飲んでいたみんなはダニエルを除きまだ眠っていた。
ザックを持ち上げると、バーバラが目を覚ましたので「Hasta luego!(またね/西)」と声を掛けた。
暗い中ビアナの街を矢印を探しつつ歩いていると、やっぱり何かを探しながら歩く女性が前方に現れた。
一緒に歩く事になり、自己紹介。ネザーランド(オランダ)から来たと言う彼女は、次のログローニョで一度カミーノを終了するらしい。良く笑う人だった。
花や、星を見つけてログローニョまでの道を楽しむ。普段は企業で管理職をしているらしく、「カミーノ中の私からはイメージ出来ないでしょ?」とまた笑っていた。きっと仕事になったら、キビキビ仕事するんだろうなあ。
ログローニョのインフォメーションセンターでスタンプを押してもらって、彼女とはさよなら。
ログローニョは美食の街で有名らしいが、ちょい都会。お祭りが開かれているけれど、下戸(まだ言う)な私は、素朴な田舎の街の食堂の方が好きらしい。
ログローニョのお洒落なカフェで、ボカデージョ(サンドイッチ)と珈琲を頼んだ。カマレラは、めちゃくちゃ美人さん。食べ終わったお皿を片付けたら、ありがとねって笑顔で言ってくれた。一生懸命スペイン語で注文して、美味しかったよって伝えるのが楽しい。
「なんか通りが濡れてますねぇ」
「本当だ、遅くまで雨が降ってたのかな?」
石畳がしっとり濡れて光っていた。
道を歩いていると、街の人がカミーノはこっちだよと教えてくれる。
「Gracias!」
「De nada(どういたしまして)!」
なんてやり取りを繰り返しながら進む。
道端で一人の男性が、リスを見ていた。心臓マッサージをしているらしいが、右側からだった。
Sさんが、リスをひっくり返して左側から心マを試みたが、多分ダメだった。リスは、肉球と口元の血の気がもう無かった。
男性は寂しそうにしていたけれど、Sさんにお礼を言っていた。
・Logrono〜Navarrete
更に少し歩き、ナバレッテ直前でSさんが動けなくなった。置いて行ってと言うので、少し早目に歩き、街の入り口のアルベルゲを二人分取って、ラインした。
遅れること20分。
一向に現れないので迎えに行く。荷物を肩代わりしようとしたが、頑なに「大丈夫」と繰り返すだけだ。顔色が悪いし、姿勢がどんどん崩れてしまう。
なんとかアルベルゲに辿り着くと、Sさんは簡易シーツを敷き切る事も出来ずに寝てしまった。声を掛けたけれど、シャワーを浴びることも出来ない。
私は先にシャワーを浴びて洗濯を終わらせた。洗濯物を干した庭で、ヤギが2頭のんびり草を食んでいた。
同じ部屋には、サパーで一緒だったイブさんがいた。イブさんも荷物を置いてシエスタ。私の隣のベッドのクラリッサが仕切りにSさんの心配をしてくれている。
「友達、大丈夫? 怪我してるの?」
「足のblister(マメ)が酷くて、脚を庇って右の大腿を傷めちゃって」
「blisterが出来ると脚を壊すわ。心配ね」
クラリッサはゆっくり諭すように話してくれる。
「あなたの事も心配よ。カミーノは一人一人のものだもの。誰かの心配をしていると、心の中が心配ばかりになってしまうから」
数日間悩んでいた事にアドバイスをくれる。
「友達が大事なの、分かるわ。でも自分も大事にね! 」
「そうだね。折角のカミーノだし」
「そうよ」
クラリッサは深く頷いた。
「blisterにはテーピングとマメ予防のクリームが効くけど、彼女持ってる?」
「クリーム、あげるよって言ったんですけど、断られちゃって」
「クリームは必需品よ……まあ」
確かにクリームやワセリンはマメにかなり有効で、私も恩恵に預かっていた。ひょっとしたら、私と一緒でなければ、薬局でクリームを買っていたんだろうか。
「アドバイス、ありがとう。ここ数日悩んでたんだ」
「どう致しまして。全てが良い方に向きますように!」
日記を書いて、夕方になってから街歩き。
教会を見つけて、クレデンシャルにスタンプを押す(自分でどうぞの形式だった)。
良い時間なので、ご飯を食べることにする。
ホテル併設のレストランで、巡礼者メニューを見つけた。
お腹いっぱいになったから、今日はこれで終了。
明日がもっと良い日になりますように!
次の話
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