読みきりショートショート。「あつまれどうぶつの森」
神々が愛せし至高の飲み物・・・
それはコーヒー。
10月1日はコーヒの日だそうだ。
コーヒーは常にそばにある。
楽しい会話のオトモに
おいしいごはんの付き添いに。
一区切りつけたい時期や
これからカツを入れたい時・・
ひと休みしたい時・・・
なんとなくワンクッションおきたい時。
さまざまなシチュエーションにより
神はいつでも寄り添いコーヒーとともに
その愛を注いでくれる。
コーヒーって言ったらあーた・・・
マスター。
「あつまれどうぶつの森」で
美術館に開店してくださったマスター。
もう常連客なんてゆるく飛びこえてここに住んでいるのか?ってくらい通いつめてました。はい。
マスターのコーヒーなくして森じゃない。
森なくしてコーヒーは語れない。
いつでもどんな時でも
マスターは待っていてくれる。
たとえ住民が消えたひと認定していたとしても、マスターはコーヒーを準備してくれているのだ。
これぞプロ。プロフェッショナルon Professional。
静まりかえった店内には聴きなれたBGMが
やさしく包み込む。
さっきまで他のお客さんもいたのだろうか。
コーヒーと会話の残り香が空間に漂っていた。
いつものコーヒーを
いつもの席で注文する。
なんて贅沢な時間なのだろう。
まるでマスターが今日ここに来ることを知っていたかのよう。
準備されるコーヒーと
ゆったりとながれるマスターの手際。
時間の片隅に連れて行ってくれた感覚。
静寂が心を包む。
そっ・・・ことっ・・カタっ・・・
一連のオトダマが店内に響く。
マスターのコーヒーは音でさえ
おいしさを後押ししているようだ。
吸い込まれるようにマスターとコーヒーを眺めていた。いつのまにかアタマのナカは別世界へと
トリップをはじめている・・・。
今日も今日とて忙しい。
ふりかえってみれば、慌ただしさしか残らない日々にむなしさすら覚える。
はぁ〜っとため息つこうとして
息を吸い込むと出来上がったコーヒーの香りが
モーローとしていた意識を取り込む。
出来上がったコーヒーを差し出すマスター。
いつも目の前にカタっと出すのではない。
カップをスッと置き
ススっとテーブルを滑らせる。
滑らかに差し出されたコーヒーは
ゆるく水面を揺らしながら手元に届けられる。
ありがたいを通り越して
感謝しかない。マスターのコーヒーには
あたたかい香りと温度が含まれている。
心に渇きにコーヒーは最高の相棒。
それがマスターのコーヒーならばなおのコト。
気がつけば口の中はコーヒーで満たされ
カップは空っぽになっていた。
おいし〜い!
抱えた不安もストレスも
一気に流されてしまった。
いつも一杯目は"浄化"する目的で飲んでいる。
真のマスターのコーヒーを味わうには
まず心のヨゴレを取り除いてからが本番。
もはや2杯いただくことは
トーゼンの儀式のようだ。
すかさず2杯目。
おいし〜い!!
何度飲んでもこれしか言えない・・・!
酸味がどうとかバランスがいいとか、そういうものはあとあと!とにかくおいしいのだ。
あたまの中にいた本能が喜んでいる。
もうそれでじゅうぶんなのだ。
ずっとここにいたいけど・・
日常と喫茶店の反復横跳びがあるから
マスターのコーヒーはおいしいのだ。
また来ます。マスター。
さいごに店内を去ろうとして
失礼かと思いながらもコーヒーのおいしさでも
伺ってみたいと思いふりかえる。
この光景を目にした時、ある言葉が浮かんだ。
"神は無言である"
そこには
次の一杯へのマスターの背中があった。
コケでした〜。
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