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「好きでいてほしいなあ」

以前お世話になった後輩だけど、
上司の子がいた。

なにごとにも一生懸命なので、
上司からも部下も先輩も仲間も
みんなからしたわれていました。

働きもので愛想もよく、
付き合いもよくて遊びに行こう!と誘えば
疲れていようが、眠かろうがどこへでも付き合ってくれてました。

リーダーシップもあり、
自らが一番難しいお仕事を
受け持ち、だれよりも働く彼。
常にニコニコして人気者。

周りのだれ一人として、
彼への文句も不満も何ひとつでないし、
とても愛されています。


彼とはよくお仕事もさせていただき、
生まれも年齢も少し近いこともあって
よく地元トークなどでお話ししていました。

なんてことないことからお仕事の裏側の話・・・
ゲームのお話しからアイドルトークまで。
ほんと色々お話しました。

彼にとっては、
同級生のような存在だったみたいで
普段の彼からは想像もできない一面に出くわし、よく笑わせてもらいました。ネガいこともね。


人間生きていればそんなこともありますよ。


外側からでは見えない深いものをたくさん
お話ししてくれ、色々学びました。


実は彼・・・レイヤーが大好きなのです。


レイヤーとは「コスプレイヤー」のこと。

彼なりの基準があり、
誰でもなんでもいいわけではなく
それなりに厳しい「判定」がありました。

その当時、まだ新人?だったレイヤーさんに一目惚れしたようで日中ずっと彼女の話ばかり。
むろんお仕事中(笑)

彼曰く、
「ポイントの押さえかたが天才」なのだそう。

いや、わからんけどね!


それから彼女のことを調べまくり、
イベントなどもチェック。
お仕事があっていけないことがわかった
彼は人生のどん底を感じていたようです。

冗談めいて「もう辞めるしかない!!」と
叫びまくっていましたけど
それは本心なのも、ちょっとわかっています。


悔しさともどかしさをぶつけるように
彼女のグラビア写真を何度も見直すカレ。


何度も見た後に彼はぼそっと言います。


「自分がレイヤーさんが好きなのは、
かわいいからとかじゃなくて
ほんとのコスプレ好きな人って、
コスプレが好き』なんですよ」

「それが全部出てるからレイヤーさんって好きなんです」

「わかります。」

「ですよね!
だからじぶんを売り込むためにコスプレするんじゃなくて、コスプレが好きだからコスして欲しいんですよ。


「そうですね。」

「ですよね!コケさんは、ゲームで儲けようとか考えないのですか?」


「YouTubeはすでにブラックオーシャンですし、
ゲームうますぎる人もたくさんいますから
ぼくなんかでは太刀打ちできないです。」


「配信者ってバズるとすごいお金入るらしいじゃないですか。勝てそうならやります?」


「少なくとも誰かが作ってくださるコンテンツには変わりないので、それでお金をいただくというのは気が引けてしまいます。ぼくはね。」


「コケさんめっちゃゲームしてるじゃないですか。それだけ好きならお金に変えてもいいですよ。」

「そのお金でゲームを買ってコケさんがたくさんゲームをして、ゲームを知らないみんなに教えてあげればいい!ってオレは思いますよ。」

「オレは応援しますよ!!めちゃくちゃ楽しそうじゃないですか。コケさんのゲーム。」

「おぉ!!ありがとうございます!」

「このレイヤーさんも、もちろん売れてほしいけど、コスプレを楽しんでほしいんです。」

「なるほど…」


「売れるとやらなくなるじゃないですか。
コスプレって。だからせめて
コスが好きでいてほしいなぁ』って」


その後彼とはお仕事が別々になり、
会うこともなくなりました。


しばらくして
雑誌コーナーで彼女を見かけたある日、
彼のことばがフラッシュバックします。


いまだにご活躍しているのもすごいなぁと思いつつも、こうしてお金をいただきながら、前に出ることでだれかが元気つけられているのだなぁと。


まるでじぶんに課せられてる試練のようだ。


「…ゲーム好きなんだよね。」

このままではずっと変わらないかもしれない。

もうワンステップレベル上げよう!!と
サブスクマガジンはじめました。



彼には届かないのだろうけれど、
人生でいちばん響いたことば。


彼女をコンビニの雑誌コーナーで見かけるたびにこの言葉が思い出されます。


好きでいてほしいなぁ


彼がみんなから愛されている理由が
わかった気がします。

その彼女は・・・


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