「関西女子のよちよち山登り 6.摩耶山」(1)
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登和子にはまだしていないことがある。
それは、兵庫県の山に登ること。
特に神戸市の北側に横たわる六甲山系には登りやすい山が目白押しで、いよいよ行ってみようかと考えている。
数ある山々のうち、六甲山最高峰が一番有名だが、山のガイドブックによると頂上まで片道四時間かかるという。あまりの遠さに、すぐに候補から外した。まだそこまでの時間を耐え抜く体力と筋力、精神力が備わっている気がしない。
「なんかええ山ないかなあ。頂上までそんなに遠くなくて、できればロープウェイとかあればうれしい……」
ガイドブックをぱらぱらめくりながら斜め読みしていると、気になる山が目に入った。
「摩耶山、ええやん!」
標高七〇二mと手頃な高さで、頂上まで二時間足らずで行けるようだ。さらに山頂からロープウェイとケーブルカーが出ている。
登和子は摩耶山のページを頭からじっくり読み始めた。
***
摩耶山は六甲山系の一つで、登山の行き先としてよりも夜景スポットとして関西で広く知られた山だ。登山口はいくつもあり、それぞれ所要時間や難易度、景観が大幅に異なる。
登和子は今回、ケーブルカーとロープウェイに平行している上野道から頂上を目指す。ガイドブックに掲載されていたコースの中で距離・時間ともに最短の、初心者向きのコースだ。
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