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呼吸法から始める瞑想入門

瞑想を実践し始めると、「なかなか集中できなくて辛い」と感じる人もいるかもしれない。
多くの場合、瞑想の初期には呼吸に意識を向けるように言われるのだが、これは単調で退屈な作業だ。

瞑想中は、起こってくる呼吸に意識を向けるだけでいいのだが、「呼吸」というのは私たちにとってあまりにも当たり前すぎる現象であるため、ただそれを意識するだけというのも、けっこう難しかったりする。
それで、「もっと他に何かしたほうが良いのでは?」とかいったことを考えて集中できなくなってしまったりするわけだ。

今回は、「瞑想を始めてみたけど呼吸に集中するのが難しい」と感じている人に向けて、「呼吸法のススメ」というものを書いてみる。
いきなり瞑想法をするのではなく、呼吸法から入ったほうが初心者にはとっつきやすいのではないかと私は思っているからだ。
瞑想法や呼吸法に興味のある人は参考にしてみてほしい。
(なお、今回の記事は全体で2500文字程度ある)


◎瞑想法と呼吸法の違いとは?

そもそも、瞑想法と呼吸法は何が違うのだろうか?

実のところ、明確な区別はできない場合が多い。
実際、呼吸法をするうちに集中が深まって瞑想状態(思考のない静かな状態)になることはよくあるからだ。

ただ、瞑想法は必ずしも呼吸だけが集中する対象となるわけではない。
眉間に集中する瞑想があったり、ゆらめく炎を凝視する瞑想法があったりする。

また、多くの場合、瞑想で呼吸に集中する時に「息の仕方」は指定されないが、呼吸法では息をコントロールしようとする。
瞑想では「起こってくる呼吸にただ意識を向けるだけでいい」と言われることが多いのだが、呼吸法の場合は「こういう仕方で呼吸をしながら、それに集中する」という段取りを踏むのだ。

このように、瞑想法も呼吸法も一種の「精神集中法」であるという意味では同じようなものだ。
しかし、瞑想法は対象が呼吸に限定されないという点が呼吸法と異なり、また、呼吸を積極的にコントロールするかどうかも、両者の間で違っているわけだ。

とはいえ、呼吸をコントロールする瞑想法も中にはあるし、この区別も絶対ではない。
そう考えると、瞑想法という大きなくくりのなかに、「特に呼吸を使って瞑想状態に入る方法」として呼吸法が含まれているようなイメージかもしれない。
図で示すと下のような感じだ。

呼吸法は瞑想法の一部

◎呼吸法は瞑想の世界への入門編

そういうわけで、瞑想法と呼吸法はとても近い関係にある。
近いどころか、時には両者がほとんど重なることさえあるだろう。

であるならば、瞑想の入り口として呼吸法を利用したとしても、別に問題はないことになる。
むしろ、呼吸法は瞑想を始める上でちょうどいい入門編になるさえ思っているくらいだ。

実際、私もいきなりゴリゴリの瞑想法から始めたわけではなかった。
最初は簡単な呼吸法を教えてもらい、それを実践するうちに本格的に瞑想に興味が出てきて、自分で瞑想についていろいろ調べるようになっていったのだ。

◎息の操作やイメージを伴ったほうが、初心者は集中しやすい

それでは、なぜ呼吸法が「瞑想の入り口」に適しているかを説明していこう。

まず最も大きな理由は、さっきも上で書いたように、呼吸法では自分の呼吸を意図的にコントロールすることだ。

考えてみればわかると思うが、呼吸の仕方について何の指示もないまま、ただ起こってくる呼吸に意識を集中するよりも、具体的に「こういう風に呼吸すること」ときっちり決められていたほうが、「自分が何をしているか」は意識しやすい。
ただ漠然と呼吸を意識しているよりも、「こういう風に呼吸しよう」と思って実践しているほうが、初心者は集中しやすいはずだ。

また、呼吸法の場合、一般的な瞑想法に比べて、イメージを積極的に使うことが多い。
たとえば、息を吸う時に温かいエネルギーがはいってくるようにイメージしたり、氣の流れのようなものをイメージする場合もある。
人によっては、こういったイメージの助けを借りることで、より集中しやすくなるはずだ。

このように、呼吸法は一般的な瞑想法に比べると、やることが多くて退屈しにくい。
結果、集中もしやすく、初心者でも続けやすいというわけだ。

◎「すること」の量がちょうどよいところからスタートする

瞑想初心者のうちは、とにかく集中力を保つのに苦労する。
呼吸に意識を向けようと思っても、すぐに考え事に没頭してしまい、「自分は向いていないのかも」と思ってしまう人も多いだろう。

そういう場合には、まず呼吸法から始めるのが良いと私は思う。
呼吸法の場合は、「呼吸の仕方」や「どんなイメージをするか」が具体的に決まっているので、戸惑ったり困惑したりする可能性は低い。
要は、言われたことを言われたとおりにやればいいだけの話だからだ。

反対に、一般的な瞑想法のように「ただ呼吸に意識を向けてください」とだけ言われても、初心者は何をしたらいいのかがよくわからないだろう。
実際には「何もしないこと」が本当の瞑想なのだが、初心者にとってそれは難しい。
だから、なるべく「すること」が多い呼吸法から始めるのが良いと私は思うわけだ。

まずは呼吸法で「呼吸に集中する」ということそのものに慣れて、それから呼吸に意識を向ける瞑想法に進んだほうが、初心者は続けやすくなると思う。
どのくらい「すること」があったら集中しやすいかは人によって違うので、無理して「すること」の少ない瞑想法から始めなくても良い。
もちろん、慣れてきたら「すること」をだんだん減らしていってもいいが、スタート時点ではそこまで気にせず、各自が始めやすい方法を取るのが一番だ。

◎具体的なやり方についてはまた次回

ということで、今回は呼吸法と瞑想法の違いについてや、呼吸法から瞑想の実践に入ることの利点について解説した。

もしかしたら、今回の記事を読んで呼吸法に興味が出てきた人もいるかもしれない。
そういう人向けに、初歩的な呼吸法のやり方を解説する記事をいくつか書いたので、実践方法を知りたい人は読んでみてほしい。

それでは、また。