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夫とは、肩組んで大手を振って、大股で歩いていきたい

突然ですが、私の夫は現在無職です。
今年が始まって間も無い頃、「仕事を辞めたい」との申し出がありました。
夫は学業を終えてから地方公務員として10年ちょっと勤務し、その間に私と結婚、5年程前にはマイホームを建築しました。

さて、30代夫婦、住宅ローンもまだまだ抱えた状況で、猫を二匹養わなければならない私の回答は以下のとおりです。

「いいよ〜〜〜辞めな〜〜〜」

うん、良いじゃないか。おもしろそう。辞める決心はついているようだ。
ということで話はとんとん拍子に進み、1月中旬には上司へ退職の意向を告げ辞表を提出。
一ヶ月程度で業務を引き継ぎその後有休消化をした夫は、この春から晴れて無職となったのでした。

その後の生活はというと、私は引き続き仕事に励み、家庭内の一切の家事は全て夫にお願いすることになりました。
現在夫は所謂主夫ですが、就業意欲もあり、たくさんの時間の中でやってみたい仕事を見つけ、webスクールに通いながら勉強に励む毎日です。

さてさて、夫の仕事を辞めたいという思いはぽっと出たものではなく、実は何年も前からもっと違う仕事をしてみたいと言っていたのでした。
しかし仕事の傍らで別のやりたいことを見つけるというのはなかなか難しく、仕事についてはライスワークと割り切り、仕事以外の時間を充実させようという思いに変わりつつありました。

私の方はというと、現在の仕事が二社目であり、前職は人間関係のもつれに巻き込まれた末に退職した経験があります。
その頃は毎日が朝起きた瞬間から地獄の始まりで、夜は寝るのが憂鬱。
きちんと食事を摂っていても胃腸の調子が常に悪いので、肌も体もぼろぼろになっていました。
ある日、出勤しようと玄関で靴を履いた時、足が動かず涙が止まらない。
心は知らず知らずのうちに限界を迎え、一歩も動けない状態になっていました。

初めて就職した会社を辞めるという選択は、当時の私にとっては生きるか死ぬかを選択するかの如く重いものでした。
そんな時に私を守り、背中を押してくれたのが現在の夫です。

仕事に行けなくなった私を一切責めず、「そんな状態で仕事に行って欲しくないし、辞めてゆっくりしよう」と言ってくれたのを今でも覚えています。
仕事を辞めることで、夫との生活が多少苦しくなることに引け目を感じておりましたが、自己犠牲をしてはいけないと夫に教えてもらい、なんとか退職を決意することが出来ました。

この時の経験が私の中には色濃く残っており、夫の退職の意向にも二つ返事で頷くことが出来ました。
もしも夫が仕事を辞めたいと言ったらその時は背中を押し、あの時の夫のように両手を大きく広げ受け止めようと心に決めていたのでした。

私が退職した当時は住宅ローンもなく、猫もいないという現在とは全く違った状況だったので、いまの暮らしは多少の我慢もあるものです。
でも、私が夫と暮らしていて守りたいものは、安定した仕事を継続することやお金ではなく、「私たちらしくいる」ということです。

よく「夫婦二人三脚」とか「夫婦は手を取り合って」と表現されますが、私は夫と肩を組んで大手を振って、大股で笑って歩いていきたいと思っています。
大きく口を開けて「ガハハ」と笑える幸せを教えてくれたのは、間違いなく夫なのです。
なんでも話せる一番の友達のような心地よさで、二人でやっと一人前な私たちでいることが「私たちらしさ」なのかなと思います。

夫はマイペースで冷静沈着、且つ見識が広く面白いことは見逃さない性格で(あとお風呂を済ませるのがめちゃくちゃ早い)、私にはない部分を沢山持っている大変魅力的な人です。
たまに喧嘩をして冷戦になることもありますが、仲直りのタイミングは見逃さず、ゆったりのんびりと生きていけたらと思います。

実は今の暮らしを私はなかなか気に入っていて、帰宅してあったかいご飯をゆっくりと味わえる幸せというものを噛み締めております。
夫は早く転職して、少しでも生活が豊かになるようにと思ってくれているようですが、やはり家事をこなしてくれるというのは大変にありがたく、私が稼げるうちはこのままでも良いかな〜なんて、猫をモフりながら思っております。

勉強が思うようにいかずもやもやする時も多々あるようですが、今は私が夫をおんぶする番と思って、ゆっくり見守っていきたいです。
夫はきっと何か面白いことをしてくれるだろうと、大いに期待しています。(夫は期待されるのが苦手らしいが……。)

長い間、好きでもない仕事を頑張ってきて本当に偉いです、おつかれさまでした。
たくさん頑張ったので、少しゆっくりしましょう。
これからもビール飲んで美味しいもの食べて、猫に振り回されながら一緒に暮らしていきたいです。

(先日夫がTwitterで小バズりし、私が懐深き奥さんでオールブラックスのハカにハマっていることが7,000人にバレてしまいました。てへ。)

本日もご拝読いただき、ありがとうございました。

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