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研究職志望の就活生向け 研究概要の書き方

「就活生の研究概要の添削」は私の趣味のひとつだ。
学部生、修士の院生、博士の院生に頼まれた時に見ている。企業の研究職志望の大学院生がほとんどだ。

そこで、ここ8年かけて考えた、就活用研究概要の書き方•志望動機の作り方をまとめて紹介したいと思う。

学会抄録≠就活の研究概要


大体の場合、学会抄録と同じものからスタートする。
学会経験によるものの、内容はそれなりにまとまっているので、必要に応じてわかりやすいまとめ方に直していく。ここまでは抄録や学振の直し方と同じ。

でもここで終わりではない。むしろようやくスタート地点に立ったところだ。
直した研究概要を戻す際に必ず伝えるのは、
「学会と同じことを書いてもだめだよー」ということ。
真面目な彼らはキョトンとする。

そもそも研究概要を書く目的が違うのだ。

学会は、研究内容を伝えるために書く。
就活は、研究経験からどんなことを考える人なのかを伝えるために書く。

事実を伝える学会では分かりやすさが最優先だが、自身の人柄を伝える就活ではストーリーが必要になるのだ。

自分だけのストーリーを作る


企業の選考に通るには、自身がその企業に入る必然性が必要になる。つまり、研究から得た考え方が、いかに志望企業の理念と繋がっているかというストーリーを作ればいいわけだ。

ストーリーは、以下の手順を踏んで考える。

①自身の研究テーマの要素を分解して、パーツを作る。

②応募企業の企業理念、研究方針、研究目的を分解して、パーツを作る。

③自身の研究との共通点を洗い出す。ぱっと見で共通点がない場合は、自身の研究テーマのパーツから更に想像を膨らませ、間接的なキーワードもパーツに入れる。

④共通点を軸に、パーツを組み合わせて、起承転結を意識しながらストーリーを組み立てる。

組み立てたストーリーは、そのまま志望動機に使ってもいいし、もっと短くして研究概要の最後に付け加えてもいい。
そうすれば、その企業に特化したオリジナルの研究概要の完成だ。

実際のストーリーの作り方


今までの経験上、特にぱっと見で共通点がない場合に③で引っかかることが多い。
真面目な学生さんほど、研究室的な目標に深く入り込んでしまい、想像を膨らます切り口がわからないからだ。

先日見ていた学生さんも、例に漏れず③でフリーズしたので、以下の課題をやってもらった。

* 私が考えた企業との共通点を伝え、もう一度志望動機を書き直す。
* その企業の研究内容とビジョンを改めてまとめる。

ここまでやったら次の課題に移る。

* まとめ直した企業の研究内容とビジョンからパーツを作成する。
* 最初に見せたもの以外で企業との共通点があるか探す。その際、切り口のキーワードをいくつか伝えておく。
* 起承転結を意識してストーリーを組み立てる。

一度お手本を見せれば、次からは見様見真似で出来るようになる人たちばかり。ここまでくれば安心だ。
あとは考えたストーリーを、面接までに自分自身の言葉で語れるように頑張ってもらうだけ。

大学院生の就活事情


学部生と違い、院生は大学の就職センターをあまり頼れないことが多いと聞いている。
就職センターで面接対策はできても、研究概要を見ることができない。だから研究職志望の場合、志望動機からガタガタになりがちだ。
就活に理解のある教員がいれば手助けしてもらえるかもしれないが、残念ながらそういう研究室はまれなのが実状…

日本の就活は大手の選考が先行する仕組みで、本命からスタートしなければいけない。
そんな中、最初から1人で考えられる人のほうが珍しいんじゃないだろうか?

だからこそ、できる範囲で手助けできればいいなと思っている。
就活後の笑顔が、私が一番嬉しいものだから。


困っている大学院生がいたらコンタクトください。
できる限り力になります。(特に生物系は得意です)

頑張れ、就活生!

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