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言葉の花束ーアキの詩集No.78


1.「人間になりたかった人形」

人間になりたかった
人形がいた

ある時
女神様が
人形に魔法をかけて

人形は
自ら動き
言葉も話せるようになった

人形は
大変喜び

人間にもっと
近付きたくて

人間らしいことを
どんどん真似ていった

次第に
人間らしくなる人形

そうしている内に
人形はふと
気付いてしまった

人間は
人間なのに
どうしてこうも
人間らしくないんだ?

朝から晩まで
働き詰めて

笑う余裕もなく
うっそうとした気持ちで
1日を過ごす人々

せっかく
喜怒哀楽を感じる
心があるのに

体ばかり働かせて
心を働かせていない

動き
言葉を発するから
人間という訳さじゃない

心があって
心を働かせるから
人間だというのに

人間だから
笑うのに

何で
それを放棄してしまうんだ

人間になりたかった人形は
決心して

女神様に
魔法を返した

そして
願った

その魔法で
人間達に
笑う心をもたらしてほしいと

そして
人形は
ただの人形に戻り

人々に
笑顔の火があちこちで
灯った

人形は
じっと動かず
笑みも浮かべず

ただ
心の中で密かに
喜んだとさ



2.「優しい光」

日が落ち始めた
薄暗い時間

神社の境内へと
向かう道を歩けば

ぽうっと
淡い光が
灯っている

見ると
灯籠だった

街灯よりも
優しい光だ

機械的な光とは違った
人の心を包み込む
暖かさを感じる

灯籠の光に
ほっと
心を和ませて

神社の神様へ
挨拶をしに行く



3.「子供の声」

疲れた

そんな状態で
電車に乗ると

同じように
疲れた人が
ちらほらいるから

疲れたオーラを
もらってしまう

電車は
嫌だな

そう
思うと

どこからか
子供の
無邪気な声がして

鬱々とした心が
ふっと
軽くなった

子供の声は
生きる力の強さを
感じる

ネガティブを
祓い

生きる力を
分けてくれた

子供の
元気パワーに救われた人は
私だけではないはず

ありがとうね

たくさん笑って
たくさん泣いて

すくすく
育ってね

心の中で
メッセージを送り

私は
家路に着いた



4.「食欲旺盛の秋」

仕事帰りは

疲れで
頭クラクラ

エネルギーも枯渇して
お腹が空っぽ

だから
糖分と栄養を求めて

真っ直ぐ家路には
着かない

当たり前のように
コンビニに直行

ハロウィンフェアで
カボチャプリンが30円引き?

そして
肉まんが39円引き?

食欲が
迷いに打ち勝つ

ミルクティーも添えて
糖分とタンパク質を
胃袋に投入

夕飯
食べられるかって?

そんなの
余裕に決まっているでしょう?

だって
これは別腹だから

健康診断
近いけど大丈夫?

大丈夫

だって
今更あがいても
どうにもならないから!

そんな
しょうもない自問自答をして

私は
お腹も心も
肥やしていく



5.「ほっとする味」

ファミレスの
ハンバーグは
とても美味しい

だけど

毎日
食べたい味ではない

それよりも
私は

家庭で作る
ちょっと味付けに失敗した
野菜炒めの味や

煮崩れした煮物に
焦げた焼き肉とか

あまり上手ではないけれど
食べて安心する
自分の手料理の方が

毎日
食べたいと
感じてしまう

美味しくするための
工夫をしたり

失敗した時の
次はどうしたらいいか
思案を巡らせたり

そういう
過程を味わえるのが
手料理の醍醐味だ

ファミレスのように
美味しくて当たり前
では
面白みがない

美味しくつくるのに
色々苦労したり
失敗もする

そういう
ドラマがある方が

料理はより
美味しくなると思う

私は
技術的に美味しい料理よりも

ほっとする味を
求めているんだと思う



6.「漬け物猫」

人が寝ていれば
足の上に乗り

寝転がって
くつろぎ始める

なんとも
甘え上手な猫

寝返りを打ちたくても
重石があるから
出来ない

しばらくすると
足が痺れてくる

まさに
漬け物石ならぬ

漬け物猫

美味しく
熟成された
漬け物になるようにと

飼い主を
しっかり
固定している

後で
飼い主を
ポリポリと
食べる気か?



7.「自分を満たす」

満たされない人は
何をやっても満たされない

例え他人に尽くす行為だとしても
際限なくやって
疲れきってしまう

それは
物や人に依存している
状態だからだ

だから
物や人から自立すること

自分軸をたもち
きちんと自分を受容し
自分の心を満たせていれば

ある程度の所で満足できるはず



8.「あなたは無条件に素晴らしい」

あなたは
あなたであるだけで
あなたであるからこそ
素晴らしい

それは
特別に何かが突出しているとか

そういう条件付きの
素晴らしさではない

あなたは
何の条件をつけなくても
素晴らしい

無条件に
あなたは
素晴らしい存在だ

それは
思い込みとかではなくて
本当のことなんだよ

それにあなたが
気付けると

あなたの人生は
さらに拓けると思う




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