【詩】 夜風
夏の夜に
むしり取られた
喜びも
取り返せない
綻びも
もう何もかも
忘れ去って
人肌を感じたい
お金で買えないものを
捨ててしまった
街灯に照らされて
伸びる人影は
こちらを覗き込む
もしあの時
そんなことを言っても
遠く置いてきたものを
取りに戻れるわけでもなく
新しい何かを
期待せずにはいられない
だけど今ここにいるのは
抜け殻と
2つの人影
また朝日が登れば
そんなことも忘れて
何かをやり始めるのだろう
悲しみも
背負ってきた重荷も
すべてかき混ぜて
海の沖合に
投げ捨ててしまいたい
これは
僕ではないが
僕である
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