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【映画レビュー】今年大本命!可愛いのにガッツリ残酷『ユニコーン・ウォーズ』の感想

今年、第1回新潟国際アニメーション映画祭へ足を運んだ一番の理由がこの作品でした。

『ユニコーン・ウォーズ』のざっくりとした監督

『ユニコーン・ウォーズ』を新潟国際アニメーション映画祭で観てきました。

ユニコーン・ウォーズ
(原題:Unicorn Wars)
制作年:2022年 / 制作国:スペイン、フランス
監督:アルベルト・バスケス

https://niigata-iaff.net/programs/unicorn-wars/

『サイコノータス』のアルベルト・バスケス監督最新作!可愛いクマちゃんたちとユニコーン達が殺し合うその結末や如何に!?というダークな内容を描いた長編作。すでにリスキットさんが2023年に配給を予定しており、もう少ししたらもっと気楽に観れると思います。

本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……

今年ベスト級。

このために無理をして来たと言っても過言ではなかっただけに、「これでビミョーだったらどうしよう」と心配してましたが、ちゃんと最高。

可愛さと暴力の往復ビンタで悪趣味方向にブチ上がる。内容もさることながら、色合いがまた綺麗で作中ずっと“好き”に溢れていました。

公開も控えていると言うことで、あまりネタバレにならない程度にもっと踏み込んだ感想を書いていきます。


『ユニコーン・ウォーズ』のもっと踏み込んだ感想


■可愛いのに残酷!子供はもちろん“閲覧注意”

テディベア軍団とユニコーンたちの戦いが描かれるということは、あらすじからも知っていましたが、この“テディベア”という表現はまさにそのままの意味のようで、この作品に登場するクマちゃんたちはことごとくナルシスト気質。鏡を見て自分の可愛いさにニヤニヤしてるような子達ばっかり。

©︎2022 Unicorn Wars/Alberto Vázquez

それぐらい可愛いさ全開のクマちゃんたちが見事なまでに悲惨な展開に飲み込まれていくのが、悪趣味だとわかりつつも気持ちいい。

『ハッピーツリーフレンズ』とか好きな人は多分ハマれるんじゃないかという具合に、キャラクターたちに容赦のない凄惨な出来事が降りかかっていきます。

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森の中で行方不明になった部隊を探しにいくことになったその先で、これでもかと「これ死ぬだろ」というフラグを立てていくテディベアたち。その遠征はある地獄を引き起こし、主人公の兄弟クマたちの運命を引き裂いていきます。

その物語のエスカレートぶりにも興奮させられるし、ちゃんとそこに“オチ”があるところも見事。ただいたずらに悲惨な映像を流すのではなく、そこにもしっかり意味があるので、ただの悪趣味で終わらないところも嬉しい部分です。

©︎2022 Unicorn Wars/Alberto Vázquez

これまでのアルベルト監督作品の中でも、結構話が明快なのでグロが大丈夫なら一番勧めやすいアルベルト作品かもしれません。

もちろん、そういう過激な内容なので鑑賞には注意が必要。
上映の際、映倫の審査はどうなるんだろうね。

映像はしっかり過激!だけどそこにしっかり意味も乗ってくるストーリー。


■色合いが美しい!ちょっと見慣れないセンス

ストーリーだけでなく美術面でも思った以上に惹かれる瞬間が多かったのも嬉しかったところ。

©︎2022 Unicorn Wars/Alberto Vázquez

事前に発表されていたスクリーンショットでは、私の好きなマゼンダ寄りのピンク色が印象的だったのですが、実際に作中の各所にこの“ユニコーンウォーズ・ピンク”が印象的に使われています。

このピンクがユニコーンたちの住む自然の緑とちょうど良い色合いを生み出していて、あまり他の作品で見慣れないような独自の幻想的な色合いになっていて新鮮な体験になっていました。

で、このピンクと緑の戦いがどんどん密になっていった結果、事態はどんどん炎や血の赤色に染まっていく。ビジュアル的にもエスカレートしていく感じがより観ているこちらを熱い気持ちにさせてくれました。

色合いが綺麗で、その色使いにもしっかりドラマが乗ってくる!


■細かな「嫌〜」な感じも詰まっていて悪趣味最高

また、ただグロなだけじゃなくて、そのほかにもいくつも「嫌〜」な演出が盛りだくさんなところも素敵

これから出兵するという子供達にブルーベリーパイを分け与えてくれるお父さんが、明らかすぎる差別をしていたり、しかもそれをもらった兄弟たちもブルーベリーパイをどう食べていくのかに個性があって、そこがしっかりその後のドラマの伏線にもなっていて良い。

©︎2022 Unicorn Wars/Alberto Vázquez

主人公のクマ兄弟に加えて、その父と母の複雑な関係の妙なドロドロさと、一言で“誰が悪人”とも言えない感じとかも、悪趣味で良かったです。

あと、謎のおちんちん推しも気になる。

©︎2022 Unicorn Wars/Alberto Vázquez

「おちんちん見るなよ!」からの「おちんちん見ていいよ」のそれ要らんやろ、って感じの即堕ちの流れが笑えました。サービスカットみたいにちょこっとだけおちんちんを画面いっぱいに映したり、特殊な需要を満たしてそうな妙な演出もあるんですが、度々登場する立ちションの排泄描写なんかは自然の循環を表しているのかな〜、とそこは必要な描写だったと勝手に納得しています。

だから多分あのおちんちんは必要なおちんちんです。

グロだけじゃない「嫌〜」な部分もしっかり詰まっててそこにも意味がある。


まとめ

●過激な映像だけどしっかり意味が乗っている!だぁい好き!
●色合いがすごく綺麗!このピンクだぁい好き!
●グロ以外の「嫌〜」な部分もだぁい好き!

というわけで話も、ストーリーも、ディテールも……大好き、大好きの連べ打ち。しっかり大好きな映画で大満足の、今年ベスト級の体験でした。

これまでは作品も観ずに「絶対面白いよ」と勝手なことを吐き続けてきたわけですが、これで私は晴れて諸手を挙げてこの映画を推すことができます

『ユニコーン・ウォーズ』最高!
『ユニコーン・ウォーズ』最高!

私のnoteでは引き続き『ユニコーン・ウォーズ』を応援してまいります。


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