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中国語は漢字だらけで読みにくい

 日本で漢字廃止について議論する時に必ず指摘されるのは、ひらがなばかりだと読みにくいということです。事実その通りで、子供の読み物では「分かち書き」という手段が用いられています。大人の日本語では、ひらがな、カタカナ、漢字を上手く組み合わせ文章の硬さを調節することが重要です。

 それでは最初から漢字しか使わない中国語の場合はどうでしょうか? 初級中国語の教材では漢字にピンインを振る必要があるため、「分かち書き」のように漢字と漢字の間に広いスペースが出来ていますが、実際に自分で文章を書く時はこの間隔を詰めなければなりません。日本人の中国語初心者は作文をする時に、教材の影響か、それとも「漢字ばかり詰めて書くと読みにくい」という嗅覚からか、間に大きなスペースを空けたがります。

 実際の中国語はこの問題にどう対処しているのでしょうか。次の例文を御覧ください。

 朱建荣认为,中日在“一带一路”倡议、开发第三方市场方面存在巨大的合作潜力。双方应将《中日和平友好条约》的合作共赢精神发扬光大,开拓新的合作领域,扩大共同利益,打造一批标志性项目,实现互利共赢。

 ある記事の一部抜粋です。この記事ではすでに一帯一路、それから中日和平友好条約が何度も取り上げられていますが、それでも“”(ダブルクオーテーション)と《》(二重山括弧)が最後まで使用されています。日本語では通常、一帯一路のような馴染みのない名詞の場合は初出の際にかぎ括弧をつけ、簡単な説明を加えてから、以下はかぎ括弧を省略します。日中平和友好条約のように馴染みのある名詞であれば、最初からかぎ括弧をつける必要がありません。

 ここで、先ほどの例文から記号を取り払ってみます。

 朱建荣认为,中日在一带一路倡议、开发第三方市场方面存在巨大的合作潜力。双方应将中日和平友好条约的合作共赢精神发扬光大,开拓新的合作领域,扩大共同利益,打造一批标志性项目,实现互利共赢。

 どこが固有名詞か分かりにくくなったのではないでしょうか。日本語の場合は「双方は日中平和友好条約の協力・ウィンウィンの精神を大いに発揚し……」といった具合に、日中平和友好条約と漢字が8つも連続で来れば十分に目立つので、かぎ括弧をつけて目立たせる必要がないことが分かります。

 それから、中国語には強調したい部分をダブルクオーテーションで囲む習慣があります。そうしないと、たくさんの漢字の中に強調したいことが埋もれてしまう恐れがあるからです。ここでは極端な例として、中国社会科学院日本研究所の学者という肩書を持ちながら、幼稚で下品な駄文を書き殴っている厖中鵬氏の文章を見ていきます。

 每逢八月份,对于日本来说,都是躁动不安的时期,原因不外乎是,“八月”这个字眼会触痛日本那些不愿意看到“战败”的人的内心,于是乎,一些铁杆“军国主义狂”就以“参拜”来暂时“麻醉”他们内心的“空虚”,而今年的“八月”,似乎给那些“军国主义狂”带来一点“刺激”,这些刺激既包括“首相大人默许”“军国主义狂”去放心参拜“战犯”,更包括昔日的“出云”又“重出江湖”,一时间,喧喧闹闹,好不“精彩”。但旁观者清,冷眼静瞧,所谓的“出云”不过是一具“僵尸”,“出云”早已死去68年矣,而那些看似“虔诚”的对战犯的“膜拜”,更多是“瞎忙一场”,无用矣。

 翻訳の際に、ダブルクオーテーションをすべてかぎ括弧に変える必要はありません。中国語の場合は上述したように、強調したい漢字が漢字の海に埋もれてしまうという恐れがありますが、日本語の場合その心配は不要ですから。また日本語でかぎ括弧を多用すると、読者に自分の考えを無理に押し付けようとする印象を与えがちです。

 ただ仮に私がこの文章を翻訳するならば、かぎ括弧をふんだんに使用することでしょう。上述したような中国語の性質を理解した上でも、厖中鵬氏の文章があまりに下品なため、筆者の心の不健全さ、下品に書こうとする意志、幼稚で人を馬鹿にした鼻につく文体を訳文に反映しなければならないからです。

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