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日記:デートの行き先リセット宣言(2024/06/15(土))

結婚八年目にもなると、夫との過ごし方がマンネリ化する。

動物園、庭キャンプ、スーパー銭湯、日曜大工、クロワッサン作り……。
いくらこの世に娯楽が溢れていても、週末の限られた時間と予算で楽しめて、両方が「まぁ、やってみるか」程度の興味が持てる遊びは多くない。

ネタ切れのせいだろう。金曜日が近づくと夫は「週末、何する?」と聞いてくるようになった。

金曜の19時まで仕事で頭がいっぱいのわたしは、当然何にも考えていない。「んん」とか「何も考えてない」と返事にならない返事でやり過ごし、土曜の朝を迎えることもあった。

土曜の朝9時にリビングへ這い出ると、夫は支度を済ませてゲームをしている。準備はバッチリ、予定は空っぽ、夫婦の空気は微妙。

結婚八年目にして、これじゃ「昼ごはんの場所が決められずに険悪になるカップル」みたいだ。


そんなことを考えていたので、夫の「付き合って十年経ったから、デートで一度行った場所へもう一回行ってもいいんじゃない?」という提案はありがたかった。

デートの行き先リセット宣言である。

そうして十年ぶりに訪れた動物園は、正直とても楽しかった。
いくつかのエリアはリニューアルしており、全く新しい施設になっていた。
説明書きのパネルや展示方法が変わった動物も含めれば、半分近くは記憶と異なっていたように思う。

「フラミンゴの池って、もっと殺風景じゃなかったっけ?」
「え、どうだっけ?」

十年という数字もちょうど良かった。
夫とわたしで記憶が微妙に違い、ああだった、こうだった、いやそれは別の友人と行ったんだろう……と会話が自然と膨らむ。

せっかくの二回目のデートだ。一回目の思い出がまったく無いんじゃ、「二回目」の旨みも出ない。

さらに、わたしはこの十年で爬虫類をかなり克服していた。
夫が買ってきた、爬虫類を扱うペットショップを舞台にしたマンガの影響である。

正直得意ではなかった爬虫類だが、白黒のマンガを一回クッションに挟んだことで、過去の抵抗感はほぼ消えていた。「あ! これマンガに出てたカエル」と生の姿を楽しむ余裕まであった。

爬虫類館をほぼ全て回れるなんて十年前では考えられなかった。
自分が変われば、同じ場所でも楽しめるものが変わるのだ。


過去のデートの順番通りなら、次は掛川花鳥園と明治村(愛知県にある明治時代の街や建築物を使った博物館兼テーマパーク)だ。

デートの行き先をリセットしても、体力の低下は残念ながらリセットされない。

広大なテーマパークを十年前と同じように遊び倒す。
夕食後の習慣になり始めている散歩に、新しい目的が追加された。

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