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『ゲームの企画書作成サービス』についてゲーム会社人事が想うこと

ご無沙汰しております。

先週から、下のチビが熱を出したり、
上のチビが保育所でもどしたり、1歳半検診があったりと家の中がバタバタしていたゲーム会社の人、ねじおです。

ちょっと空いてしまいましたが、
noteから居なくなるわけではないのでご安心?下さい。

さて、社内のプランナーが新卒面接の中で、
こんなサービスがあると学生さんから教えてもらったと教えてくれたので、率直な新卒採用をする側の目線から書いてみます。

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▲ゲームの企画書作ります!サービス

最近はなんでも代行サービスがありますね…。

夏休みの作文や宿題の代行サービスが物議をかもしましたが、
同じような感じで、基本的には完全代行はオススメしません

が、しかし、しからずんば、
使うのであればこういう使い方なら、まだアリかということも考えたので、そんなことを書いてみます。

ゲーム業界を目指していて、企画書課題に直面している方。
一般の大学からゲーム業界を目指そうとしたが、Unityだ企画書だに恐れおののいている方の参考になれば幸いです。

●そもそも企画書の代行ってアリ?

無しではないですが。。。
まぁ、大半のゲーム会社さんは良くは思わないでしょう。
(実際、書類選考段階ではこれはプロの代筆だ!なんて見抜けないでしょうし)

何度もnoteでは書いていますが、
ゲーム会社の企画職・プランナー職選考では、企画書やゲーム作品の提出を求められることが多いです。

半分、課題のような意味合いでもあり、その方の名刺のような意味合いも持ちます。
デザイナーであればポートフォリオ、エンジニアであればソースコードを提出したりします。

これを人に頼むということは、
『夏休みの工作課題』を建築の匠に依頼して、
精巧な建築模型を自分の作品として提出するような感じでしょうか。

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▲なつやすみにがんばってつくりました!(棒読み)

添削を受ける。
アドバイスをもらう。

これは全然OKですし、どんどん作って話をして、次の企画や提案に生かすというのはプランナーの実務でもよくあることなので、歓迎されることです。

ゲーム系の専門学校では日々行われている課題とフィードバックの流れです。

ただ、『丸投げ代行』は自分の経験値にもならず、
アイデアを煮詰める、細部まで考える、ユーザーの感情を想像する、といった本来、企画職として仕事をしていきたいとお考えの方に身に着けてほしい点と、企画書を受け取る側が話をしたい点が本人の中に無いことになるので、結局面接の中で空っぽが露呈するのでは?と想像します。

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▲装備は一流、でもレベルは初期レベル
RTAかな?

キャラクターの能力(職業、レベル、HP/MP、スキル)
装備された武器・防具(作品・資格・称号・見た目)

どちらも大事です。
就活も敵やライバルとしのぎを削るわけですから、RPGゲームと一緒です。

とくに新卒採用では、『経歴や実績』という点で差がつきにくいので、基礎パラメータを重視する傾向があります。

(代行サービスがどのように代行するのか分からない状態で書いています。)

●どういうところがマイナス?

先述のとおり、その方の基礎能力を上げる機会を奪う
というのが最も大きなマイナスですが、
物理的な懸念事項としては以下の点が上げられます。

①実際に面接の中で提出した企画書のプレゼンを行う選考

これがゲーム会社の選考ではよく行われます。

結局この中で、企画書に書かれていない点や、
その考えに至った根拠や経緯をお聞きします。

「なぜ主人公は●●が出来ない設定なのですか?」
「何体くらいのキャラクターが出てくる想定ですか?」
「スマホではなくPS4で出す意図は何ですか?」
「このゲームはどの程度のプレイ時間を想定していますか?」

人が作った企画書で、その中身をその方が考えていない場合、
このあたりの問いに答えられないか、考えの浅さが露呈します。

それは企画書の出来とのギャップとなり、
その方に対しての疑念を生むこととなります。

②能力を過大報告

また、経歴詐称と受け取られるケースもあるでしょう。

実際にデザイナーさんで、他人のポートフォリオを提出して実力を偽り、選考通過した方が居たことがありますが、実務に入ると実力不足を露呈して、現場も本人も困ってしまう、なんてことになります。

こうなると、試用期間で契約解除となってしまうので、
新卒の方からしたら、就活を4月以降にやり直すことになり、
次の職場にもどんな説明をしたらよいのかと、かなりのリスクを背負うことになります。

幸い、ゲーム業界の企画書については、
色々なサイトや本で見ることが出来るようになってきています。

▲過去記事参照

是非、投げ出す前に、
サイトやテキストを見て、へたくそでも1っづつ制作をしてみて頂ければと思います。

●もしねじおが就活で使うなら

私が使うなら。

ガチっとコンセプトとターゲットを考えて、
ある程度の遊びのプロットを詰めたうえで依頼します。

ジャンルはパズル…
電車の中で遊ぶ想定で、対象は社会人…
1ステージ5分で終わる想定で…
こんな遊び方で…
こんなランダム要素でドキドキさせて…
急ぎたい人様にここを課金すると楽になって…

最低でもこのくらいは自分で考えて依頼をしないと、
イメージ通りの企画書にならないかと思います。

(何度も書きますが、代行サービスがどのように代行するのか分からない状態で書いています。)

そのうえで、就活においては、

『代行サービスでプロに作ってもらった』

と書いて提出します。

もちろん、補足説明は付けて、

『私はゲーム学科ではありません、企画書の勉強は独学です。今の私の実力では専門に4年勉強されてきた方と企画書の出来栄えでは勝負出来ないと考え、代行サービスを使って、本企画書を制作しました。
 企画骨子は自分で考えて整理し、プロに装丁やデザインをまとめて頂きました。将来的にプロデュース志向ですので、自分が出来ないことは得意な他者に任せ、代わりに最大限の成果を返す事を意識した結果です。
 課題という観点からは評価されない行為かも知れませんが、私の思考と志向を見て頂きたく、ご確認、ご判断を賜りますと幸いです。』

と説明するでしょうか。

意図は、評価が分かれることは承知の上で、この対応と自分の思考を〇だと思ってくれる会社のみ選考が進んだほうが、お互い幸せでしょう。

という考えです。

●まとめ

ちなみに、私は履歴書や職歴書、企画書の代筆を頼まれてもやりません。
あくまで添削です。

人の作品を代筆する、そしてそれがその方の人生を分けるかも知れない。
そのリスクを請け負う覚悟はなかなか私にはありません。

企画書制作を課題ととらえたら、とてもつらいもので逃げ出したくなるかもしれませんが、自分がこれからやろうとしている仕事で必要な行為ととらえたら、練習や自己成長という見え方になって意欲が出るかもしれません。

全くゲームの企画書を書いたことが無い方なんかは、
試しに作ってもらって、それを参考に自分の企画書を制作するという感じの使い方であればとても良いサービスだと思います。

ただ、人が作ったものを自分の作品だと提出する行為は、
クリエイティブ職での選考という環境においてはオススメ出来ないとはお伝えしてまとめとしておきます。

ゲーム業界を目指していて、企画書課題に直面している方。
一般の大学からゲーム業界を目指そうとしたが、Unityだ企画書だのに恐れおののいている方の参考になれば幸いです。

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【過去記事】
人事的な記事⇒https://note.com/negikojyo/m/mb13243fd1754
中途採用の記事⇒https://note.com/negikojyo/m/m065b4610a93e
新卒採用の記事⇒https://note.com/negikojyo/m/m2326398a03cd
note/Twitterの記事⇒https://note.com/negikojyo/m/mdbb149c98460
その他雑記⇒https://note.com/negikojyo/m/m438046a9fda7


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