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「不登校×保護猫活動」ゆきレオ保育園がつくる、子どもと猫の新しい居場所

「不登校の子どもと保護猫の居場所をつくりたい」ーーそう語るのは、自身も不登校の息子・娘の母である福本亜弥さん。

ニュースやテレビ番組でも取り上げられるほど話題となっている、不登校児童向けのフリースクール「ゆきレオ保育園」。大阪府の河内長野市で、娘の凛さんとともに立ち上げました。

娘の「保護猫活動をしたい」という言葉から、家族でこれまで100匹を超える猫を保護した経験のある福本さんに、保護猫活動にかかっているお金や、猫の保護に至るまでの手順についてリアルなお話を伺いました。

「フリースクール×保護猫施設」家族でつくる新しい居場所

―― ゆきレオ保育園では、ユニークな保護猫活動を行われているとお聞きしました。活動内容について教えてください。

保護猫施設とともに、不登校児童向けのフリースクールを運営しています。

当時小学4年生だった娘の凛が「猫の保護活動をしたい」と言ったことをきっかけに保護猫施設を始めたんです。そんな娘は現在、理事長を務めながら保護活動や施設の運営をしています。

主な活動内容は、地域にいる猫のTNRや、怪我をしている、痩せているなど体調がよくない猫や子猫を保護して、里親への譲渡につなげることです。

💡TNRとは?
外で暮らす野良猫を、Trap(捕獲して)Neauter(​​不妊去勢手術を施し)Release(自然へ返す)活動。

https://note.com/neco_note0222/n/n3dab2b4c0b0f?magazine_key=me2704ff049df

また「不登校の子どもと保護猫の居場所をつくりたい」と、約400万円をかけて自宅の一部を改築し、フリースクールを開きました。

―― “不登校×保護猫”のフリースクールはかなり珍しいですよね。

そのようで、テレビでも紹介いただきました。

私自身、息子と娘の2人とも不登校だったので、子どもと親御さんが猫と触れ合ってやすらげる場所をつくりたいと思ったのがきっかけです。

テレビで紹介いただいてからは問い合わせも増えて、なかには片道2時間半ほどかけて来てくださる方もいます。

―― フリースクールで、子どもたちはどのようにして保護猫活動に関わっているのでしょうか?

里親募集の手伝いから、猫のお世話までさまざまなことをしてもらいます。

具体的には、デザイン作成ツールのCanvaを使って猫のプロフィールをつくってもらう、印刷したものをラミネートするなどです。猫のケージにカバーをつけるのを手伝ってもらったり、お皿に猫の名前シールを貼ったりも。

手伝ってほしいことをお願いすると、子どもたちは「やる!」と言って、積極的に関わってくれます。

―― Canvaを使うのですね!想像以上に現代的で驚きました。

私より子どもたちのほうが覚えが早いので助かっています(笑)。最近では、子どもたちから「猫カフェをやりたい」という声もあがっていて。

どんな資格がいるのか、何を準備する必要があるのかなど、子どもたち自身で調べて動いてくれています。“子どものやりたいことを応援する”のがゆきレオ保育園のスタンスなので、今年の5月には始められるように動いている段階です。

累計保護数100匹超え。保護活動の裏側にある“地道な努力”とは

―― これまでに100匹を超える猫を保護されている福本さんに、保護猫活動の流れについてお聞きしたいです。

基本的には怪我や病気など外で生きていけなさそうな猫や、交通事故が多い場所で暮らしている猫を保護して譲渡につなげています。

そのほか、健康的な猫に関しては、TNRをして元いた地域に戻して、地域で見守っていく形をとっています。

―― 野良猫は警戒心が強いと思いますが、どのように捕獲されているのでしょうか?

状況によって異なるのですが、猫に餌をあげている人を特定して、保護に協力してもらうことが多いですね。餌やりさんがご飯をあげている時間帯に、捕獲機を設置して捕まえます。

餌やりさんを見つけられなかった場合は、決まった時間にご飯をあげるようにして、猫を捕獲しやすい環境を整えます。

―― いちから餌づけするとなると、かなり時間がかかりそうです…。

餌やりさんがいる場所では3日ほどで捕獲できるのですが、自分たちで餌づけするとなると、猫の数や特徴をすべて把握してから始めるので時間はかかりますね。

1週間連続で、丸1日ずっと見張っていることもあります(笑)。だいたい2週間〜1ヶ月かけて情報を集めて、やっと捕獲できる状況です。

―― 警察の張り込みみたいですね…!現場に複数の猫がいた場合は、1匹ずつ捕獲していくのでしょうか?

猫は警戒心が強いので、捕まえているところを見られたら他の猫を捕獲しにくくなるんです。そのため、何時ぐらいに何匹来ているかがわかったら、持っている3台の捕獲機を設置してできるだけまとめて捕獲します。

TNRを行う場合は、病院を予約した日の前日に捕獲して、次の日に病院に連れて行って不妊手術を行ない、すぐもしくは1日経ってから元の場所に戻す流れです。

1匹数十万円かかることも?!猫の保護にかかる費用を抑える工夫とは

―― TNRや保護をするとなると費用が高額になりそうですが、実際はどのくらいかかっているのでしょうか?

TNRに関しては、どうぶつ基金さんの「さくらねこ無料不妊手術チケット」を使っているので、何もなければ1匹あたり1,500円ほどの負担で済んでいます。ただ、このチケットが適応されるのは地域猫として“元の場所に戻す”場合のみなんです。

そのため、怪我や病気の関係で、里親探しをする“保護”の場合はチケットが使えないので、実費で不妊手術代に約1万円(メスの場合)がかかります。また、混合ワクチンやウイルス検査、ノミダニ駆虫薬、爪切り費用なども含めると1匹あたり合計で2万円ほどかかっていますね。

―― 怪我や病気の治療も含めると、さらに費用がかかりそうですね。

大きな怪我をしている場合などは、15万円以上かかります。直近だと、入院費で50万円、手術代で30万円かかった猫もいましたね。

ただ、高額な手術代がかかる場合はSNSで寄付を募らせていただいたり、譲渡費用を活用したりしてまかなえています。

また、医療費以外のご飯代やペットシートなどの消耗品に関しては、実はAmazonの「保護犬・保護猫 支援プログラム」と応援してくださる方からの「欲しいものリスト」のおかげでほとんどかかっていなくて。本当に助かっています。

“お金をかけなくてもできる”保護猫活動の形

フリースクールゆきレオ Instagramから

―― SNSを拝見したのですが、保護される前に比べるとみんな穏やかな顔をしていますよね。人に慣れてもらうためにしていることは何かありますか?

無理に人に慣れさせようとするのではなく、お世話や遊びのなかで徐々に猫との信頼関係を気づいています。

なかには、人に触られることで大きなストレスを感じる猫もいるんです。そんなコにはなるべく触れずに、人と同じようにたくさん話しかけて距離を縮める方法をとっています。

6畳2部屋の保護猫部屋を自宅につくったので、24時間一緒にいることもあり自然と慣れてくれますね(笑)。

―― たしかに、毎日一緒に過ごしたらほぼ家族みたいになりそうですね。最後に、保護猫団体さんが必要としている支援などがあれば教えてください。

どの団体さんも特に必要としているのは、寄付と支援物資だと思います。でも、お金を寄付するのはハードルが高いですよね。

「お金を使わずに保護猫活動に関わりたい!」という方は、SNS投稿を拡散いただけるだけでもすごく助かります。見てくれる人が増えると、引き取り手が見つかりやすくなるので、里親募集の投稿を見かけたら拡散してもらえると嬉しいですね。

🐈 🐾 🐈 🐾

これまで助けた猫の数は100匹を超えるという「ゆきレオ保育園」。

小学6年生の娘であり理事長でもある凛さんの「保護活動をしたい」というひと言からはじまりました。

現在は不登校児童向けのフリースクール×保護猫施設として、小中学生を中心に動物愛護の輪を広げています。

さまざまな理由から不登校になった子どもたちや、その両親、そして外の過酷な環境で生きてきた保護猫の3者が安心できる場所として愛されているゆきレオ保育園の活動を応援しています。

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