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コルブの経験学習モデルについて考える

 デイビッド・コルブはジョン・デューイやジャン・ピアジェの影響を受け、1970年代に具体的経験・内省的観察・抽象的概念化・能動的実験の4つの要素からなる「経験学習モデル」を開発します(謂わば一昔前の理論モデルですけれども。ただし近刊で辰巳出版「最強の経験学習」(2018)があります)。
 コルブらは上記4つの要素はどこからでも始まる学習のスパイラルだとしますが、一方で「一般的には具体的経験から始まる」とします。また経験学習モデルでは「能動的実験・具体的経験」と「内省的観察・抽象的概念化」という2つのモードが循環しながら知識が創造され、学習が生起するとされています(ちなみに2018年の本では具体的経験=経験する、内省的観察=検討する、抽象的概念化=考える、能動的実験=行動すると分かりやすい言葉に置き換えられています)。

 意識しておきたいのは単に本を読んで知識を覚えたり、教員から答を教えたりしてもらえばいいということではなく、具体的に経験して、それを内省して、抽象化して、実際に試してみるというサイクルが重要だということです。
 失敗を恐れる若者はマニュアルで知識をつけて終わりという場合もありますが、実際にやらせてみることが大切です。うまく行けば継続すればいいし、うまく行かなければなぜうまく行かなかったかを内省して、うまく行きそうなやり方を試行錯誤することが重要です。コツを教えながら具体的にやらせることが重要なのだろうと思っています。内省の時間を取ることも重要だろうと思っています。

 ちなみに2018年の書籍ではダニエル・カーネマンやキャロル・ドゥエックなども引用して経験学習がブラッシュアップされていることが分かります。学びの第一ステップは自分が「学習者」であることを受け入れること、第二ステップは学び方を学ぶこと、第三ステップは自分の学習スタイルを発見することだとしています。その学習スタイルには経験する、想像する、検討する、分析する、思考する、決定する、行動する、開始する、バランスを取るの9つのタイプがあり、それぞれ人により傾向が異なり、その学習スタイルは生き方に深く根ざしていると言います。また学習スタイルを柔軟にすることを奨励しています。

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