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繊細なHSPに海外留学は中々しんどい

この記事の内容

  1. HSP・繊細気質は海外留学に適応できるのか

  2.  留学経験を通した学びや反省点

  3. 自己理解の重要性について

アラサーHSS型HSPの自分が学生時代に約半年ほどのアメリカ留学を経験し、そのときに感じたことを書き連ねていきます。
新しい出会いや異文化との交流、憧れの海外生活、期待に胸を踊らせて渡米しましたが、自分の性格特性との不一致も相まって良い思い出ばかりではなかったので...自身の気持ちの整理も兼ねて。

「HSPでも留学は楽しめる!」とか「人生は一度きり!繊細なあなたにこそ留学はオススメ!」とかポジディブ全開で海外留学を全面的に肯定するような記事が多いと感じたので、留学経験者としてまた違った角度で経験談を伝えられればと思いました。

繊細さやHSP気質を持ち合わせており、将来海外留学やワーホリなどを国外での生活を検討されている方の人生選択の一助になれば幸いです。

留学に至った経緯

  • 高校の頃から試験英語が得意で強みを伸ばしたいということもあり海外留学に対して漠然とした憧れがあった

  • 大学生活前半をサークルやアルバイトに充てて過ごしており、長期インターンや留学経験など分かりやすく就活で使えそうな武器がないという焦りがあった

  • コミュニケーション能力は人並みにある(と思う)が、誰かといると気疲れしやくどこか漠然とした生きづらさ的なものを抱えていた。
    → 何となく当時の人間関係に満足しきれておらず、新たな環境で「本当の自分」を認めてくれるような友人に会いたいと思った。

当時から海外留学は珍しくなく、自分の周りでも期間を問わず多くの友人がが留学に行っていました。そんな背景もあり大学3年時の夏からとある留学エージェント経由で約1年弱の学部正規留学というかたちで、アメリカのとある州立大学に留学しました。ちなみに、それまでの海外経験はほぼゼロ。旅行で1週間ほど東南アジアの何カ国かを周った程度でした。繊細で環境変化に弱い気質を自覚していなかったこともありますが、生粋の純ジャパである私がいきなり長期の留学に挑戦するのはリスクが高すぎたなと、今振り返ると思います。TOEFLは1,2年次に勉強していましたが、大学生活に浮かれていたこともあり、たしか80弱程度しかありませんでした。

私について

  • HSS型HSP。疲れやすく繊細だが周りから見ると社交的で明るいように思われている。留学経験をするまで繊細さやHSP気質の自覚なし。壁にぶつかって、自身の気質に気づき始めました。

  • 人と話すのは割と得意でコミュニケーションに抵抗はない。知らない人にもすんなり話しかけられるタイプ。ただ、家に帰るとグッタリしやすい。

  • 友人関係は狭く深く。相性が合わないグループや人にはあまり近づかない。相手の表情や言動から邪推したりネガティブに捉えてしまって疲れるので。

  • 相手の気持ちに入り込みやすく共感性が高い分、感情的になりやすい。

  • HSS型気質のおかげで、興味をもったことは一度体験してみないと気がすまない。でも飽きやすい。

  • ハマったことはとことん突き詰められる反面、やりたくないことや興味がないことはすぐに飽きるし手出ししないことも多い。

  • 人前で緊張しやすく「周りからどう見られているか」周囲の目線がすごく気になる。あがり症でスポットライトがあたることは得意でないが、目立ちたがりなところもある。

周りからはアクティブで社交的に見られるけど、実は傷つきやすく疲れやすい(外向性・社交性があるのは事実です。)。HSS型HSP特有の矛盾を抱えた複雑な性格特性を併せ持っています。ちなみに、当時はこうした気質・特性に正確に気づいておらず、漠然と「なんか疲れやすいなぁ」くらいの感覚でした。

HSP×海外留学はしんどいことが沢山

知らない人に積極的にコミュニケーションを取っていかなければいけない

語学学校で日本人と過ごすとなれば話は変わるかもしれませんが、現地の学生と同じように学部授業を履修する場合、一人で単位取得することは中々難しいので、ノートテイキングやテスト期間など何かしら周囲のサポートが必要になってきます。

そのため、同じ講義を取っている学生や教授などに積極的にコミュニケーションを取っていく必要があります。自分は、人と話すこと自体に抵抗はない(むしろ得意)のですが、やはり見知らぬ環境で慣れない英語で思っていることを上手く伝えなければいけないということに相当苦戦しました。HSP気質が相まって寮に帰るとグッタリとしてしまうことも多く、コミュニケーション面でも相当の負荷がかかりました。

恥ずかしい経験を沢山する

いろいろな経験を通して最近は大分変わってきましたが、自分はもともと周りの目が気になりやすく完璧主義な人間です。なので、英語を話すときも「これ間違っていないかな?」とか「ちゃんと伝わってるかな?自分の英語ダサいとか思われてないかな?」とか考えて毎回不安になってました。また、それなりの進学校から上位大学に進学し、大きな挫折やプライドが傷つく経験を味わってこなかった自分には(思い返せばあるかもですが忘れました笑)、英語圏でノンネイティブとして慣れない英語でアメリカ人やすでに英語が堪能な他国の留学生に頑張って話さなければいけない、という経験はちっぽけなプライドが揺らがされる良い経験だったとは思います。

また、学部授業だけでなく語学学校の授業などでもそうでしたがとにかく大勢の前で発信・発言する機会が数多く求められます。あがり症で日本でもそうした場が得意でない私にはハードルが高かったですし、もとからそうしたことが得意な人が羨ましいなと思っていました。HSP気質と深い関係があるかはわかりませんが、人前での発言・発信に抵抗がある人はそれなりに覚悟しなければいけません。ただし、これに関しては場数をこなせばある程度慣れてくる部分はあります。

アクティブなイベント発生率が高い

アメリカは大学スポーツの盛んな国です。私の留学先でもアメフト部やバスケ部の試合が毎週のように行われており、キャンパス内の芝生の公園(?)みたいなところで大学の生徒や街の人総出で特大スクリーンに投影された試合を観戦して皆でワイワイと盛り上がるというイベントがありました。最初はどんなものかと行ってみるのですが、アメフトに関心の全くない私はすぐに飽きてしまいました(笑)。飽きたら行かなければいいのですが、フレンドリーな人が多いので現地の友人や留学友達にもバンバン誘われて断るのがめんどくさくなってきます。

また、友人主催のパーティに呼ばれたり秋にはハロウィン仮装、冬にはクリスマスパーティなどとにかく大勢で集まってガヤガヤするのが大好きでイベントが目白押しな感じでした。好きな人にはとても心地よい環境でしょうが、パーティや大勢で集まることが根本的に好きでない自分には肌に合わずストレスでした。

食生活や衛生面など日本と全く違う

食事はキャンパス内食堂でハンバーガーやポテトなどのファストフードや、サンドイッチ、カリフォルニアロールなどを食べていましたが、そもそも和食やさっぱりしたものを好んで食べる自分にはアメリカの脂質の多いヘビーな食事は向いておらず、食生活面でもフィットしませんでした。食事面や衛生面の変化にも敏感な人はよく検討する必要があります。

これは地域にもよりますが、キャンパスには何故かゴキブリが大量発生しており、夜道を歩いていると人間を避けるようにカサカサと動き始めるんです。虫が苦手な自分にはそれだけでとてつもないストレスでした。私が少し潔癖症が入っていることもありますがトイレや水回りなども含めて、衛生面はやはり日本のそれに慣れているとカルチャーショックがあるかもしれません。


当初私の留学は約10ヶ月程度のプログラムでした。
思い切って行ってみたはいいものの、留学先の環境や求められる(フィットできる)性格特性が想像以上に自分の気質に合わなかったこと、留学を通して成し遂げたい大きな目標もなく思いつきで渡米し漫然と過ごしはじめたこと、それらが相まって精神的にも参ってきてしまったこともあり、1学期が終わったタイミング、滞在約5ヶ月ほどで日本に帰国する決断をしました。
当初は悩みましたが、このまま残り半年滞在を続けられるような気力やモチベーションもなく、また、半年の滞在でも授業料や生活費諸々含めて相当な費用がかかるのでそれに見合った結果が得られる自身もなかったので、そうするより他無かったという方が正確かもしれません。

個人的な反省点

目的意識の欠如:留学先や希望学部の選択が超テキトーだった

在学中、学業もそこそこにまぁまぁ自堕落な生活を送っていた自分は、TOEFLの成績も高くなく、交換留学の選考は書類で落選しました。そこで両親と相談して、私費留学を決意しました。
ただ「少し英語が喋れるようになればいい」「海外経験が欲しい」くらいの超漠然とした希望しかなかったので、留学先や学部の選択も超テキトーでした。ちなみに、日本では経済系の学部でしたが、他の社会科学系科目を学んでみたいということで社会学部を選択しました。

もっと入念に自分のやりたいことを決めて、それに沿って意思と計画性をもった留学にするべきだったと思います。飽き性な性格もありますが、履修した授業に身が入らず「なんでこの授業受けてたんだっけ?」とか考えていたのを覚えています。なので、これから留学を検討されている方は、どういった目的でそれに向けて何故その大学(そしてその専攻)に行く必要があるのかを筋道立てて何度も考え抜いて欲しいと思います。ある程度固まったら誰かに確認してもらってください。自分では気づけない角度から効果的なフィードバックがもらえるかもしれません。

自己理解の甘さ:繊細で環境変化に弱い気質をあまり理解できていなかった

留学したのは二十歳そこそこのときでしたが 、それまで自分の繊細さや感受性の高さを意識したことはあまりなかったです。中学・高校時代はむしろ活発で人見知りせずアクティブで社交的な感じ、男性ということもあり無意識に内側にある繊細さや傷つきやすさに蓋をしていたのかもしれません。そうした自分の特性にもう少し早くから気づいていれば、自分の強みを伸ばせるような違った選択を取っていたかもしれません。逆に、この経験で様々な壁にぶつかり、自らの本質的な部分に気づきそれを素直に認めてあげられるようになったので以前より大分楽に生きられるようになりました。

周りの評価を気にした選択:「どう見られるか」を意識しすぎていた

なんとなく「英語が喋れるようになればいい」「海外経験が欲しい」と思ってはいましたが、それくらいの漠然とした考えで海外留学という大きな決断に踏み切れてしまったのは、「カッコよく思われたい」とか「就活で有利になるように、良い会社に入って憧れられるようにスペックを上げたい」など自己の価値観起点ではなく周囲からの目線を意識しすぎていたという部分も大きかったと思います。周りからの評価を気にすることは一概に悪いことではないと思いますが、度が過ぎると自分本来の価値観を見失い、本来の自分でいられなくなったり、人生の幸福度がさがりかねないと思います。
この経験を通して、自己の本質的な興味・関心に向き合って自分軸でやりたいことを決めていくようになりました。

勢いでの大きな意思決定:短期留学などお試し期間を経てから検討すべきだった

この長期留学をするまで、海外は旅行で東南アジアに数日間程滞在したことしかありませんでした。
これは2つ目に書いた自己理解・自己分析の甘さとも繋がる話ですが、外部環境の変化にストレスがかかりやすい自分の傾向を先に把握していれば、事前に数週間の短期留学を経験し、異国で生活すること・学ぶということを肌レベルで体感してから検討していたかと思います(まぁ結果論ですが…)。大きな意思決定をする前は出来るなら味見期間を設ける、という当たり前ですが大切な学びになりました。

HSPさんには留学をよく検討して欲しい

先に結論から。
HSP気質や繊細さを持ち合わせている人、外部環境の変化にストレスがかかりやすい人が海外留学して環境適応することは簡単ではない
です。留学エージェントや留学を奨励するようなページは「異文化交流で人生観を豊かに!」的な耳障りの良いことしか言ってくれません。ネガティブな面に言及することは彼らの利益に反するので。また、世に出ている留学経験者の体験談や留学説明化などは基本的にすべて上手く行った人が語っています。それらだけを判断材料にして選択するということは「生存者バイアス」がかかった状態での意思決定なのであまりよろしくないかと思います。上手く行かなかった人や脱落した人の意見に耳を傾けず、残った人や成功した人だけの意見を取り入れて意思決定するのは非常に危険です。留学に生きたいという気持ちだけが先走って、その意思をサポートしてくれるような意見だけ鵜呑みにするようなことは出来れば避けるべきだと思います、人は本能的にそうした行動をとりがちなので簡単ではないですが。

もし今留学や海外生活を検討している方がいたら、「そもそもどんな目的があって留学するのか(なぜ行くのか)」「本当にその目的は海外に行かないと達成できないのか(他の選択肢はないか)」を自分なりによく考え抜いて欲しいです。よく考えずに勢いだけで決断して後々苦しい思いをしたり後悔をするのは自分です(ちなみに私は、後悔や未練はありますが、反面多くの学び・収穫もありました。)。
また、自分という人間をよく観察・分析して、その選択が本当に自分に合った(現状考えられる)最適解なのかをしっかり検討してみてください。
そして、信頼できる友人や先に経験した先輩、家族など自分をよく理解してくれている人に恥ずかしがらずに相談してみてください。判断に至る材料は大いに越したことはないです。そうすれば、自分でさえ認識できていなかったあなたの性格的な特性を絡めて何か有用なアドバイスをくれるかもしれません。相談したり、悩んだり、考え抜くことは大変で骨が折れる作業ですがその面倒くささを厭わないでください。
最後に意思決定するのは自分自身です。やれるだけのことはやって、それでも留学したいと思えるならそれはあなたの確固たる意思なので挑戦してみてもいいと思います。経験して初めて感じることも沢山ありますし、それがあなたの人生をもっと豊かにする可能性もあります。

末筆ですが、この記事が現在留学を検討しているHSPさんや繊細さん、そして留学に行くべきか決めあぐねている全ての方々の今後の意思決定の一助になれば幸いです。
良ければ、いいねやコメントなど反応いただけると嬉しいです。

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