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天皇陛下の食事

私はまた図書館の料理本コーナーを見に行った。前は「富士屋ホテルのレシピ」を借りたのだが、もうひとつ気になっていた料理本があった。それが「天皇陛下が愛した洋のレシピ」だった。
次はこれ借りたい!と目をつけていたのである。レシピ本であるが料理を作る気がさらさら無い私は「天皇陛下の愛した料理」に興味があった。ちなみに「天皇陛下が愛した和のレシピ」というのもあったが、華やかさ、見た目の綺麗さ、非日常感のある洋食を選んだ。
庶民には想像もつかない陛下の食生活である。この本では宮中のお話も結構書かれていて読んでいて楽しい。明治維新の流れのから西洋化をはかり洋食を取り入れた天皇家。
かの天皇家の料理番、秋山徳蔵。
この本のレシピ監修、調理をなさったのは秋山徳蔵から本物のフランス料理を仕込まれた窪田好直シェフだ。

昭和天皇は猫舌で熱いものが苦手。
料理人はスープの温度を身体で覚える。
食べ物の宮中言葉(ぞろ=そうめん、むし=味噌、こうもふり=たくあん、ゆき=鱈、など)
お毒味。むかしはお毒味役がいたそうです。

昭和天皇の朝食は決まっていてオートミールかコーンフレークかパン。ハイカラですね。
それに温野菜とサラドと呼ばれる生野菜。
昭和天皇は朝食でピーナッツか銀杏を召し上がるのが習慣だったそうで、これがまた手のこんだピーナッツだよ。生のを皮むいてバターで炒めて塩をするんだとよ。

御弁当のイチゴジャムサンドもイチゴジャムを裏漉ししてから、飴状になる手前まで煮詰めてバターとサンドイッチにするんですって。
その他のサンドイッチの中身はサーディン、玉子、牛ロース肉蒸焼、レタス、きゅうり。

スープがこりゃまた夢のようにお綺麗なコンソメスープにソワル·ド·パリなんちゅう気取ったお名前のスープだよ。これはすごいよ。
とうもろこしの冷製ポタージュにゼリー状のコンソメがキラキラ浮いてて「お前さん!これがパリの宵なのかい!」と叫びたくなるスープだよ。
ブイヤベースもぶったまげた。魚のスープは鱈の骨とミルポワで煮て作りますとあるが出しが出るほどの鱈の骨とは…まるごと一匹鱈用意しなきゃいかんのか、なければ煮干しでよいとあるが煮干しだとフランス気分ぶち壊しにならないかね。煮干しがないなら市販のスープの素でもよいそうです。

そして平成の世になり皇室は開かれていく…。皇太子殿下(現天皇陛下)が海外で食べたモロッコ料理をリクエストしたり、雅子さまが自ら殿下の為にチキンカレー、オニオンスープ、サラダをお作りになったりと手料理をなさる。その雅子さまのチキンカレー本格的でおいしそうです。

デザートもまたすんごい手がこんでいて、目からよだれがたれそう。繊細で美しく寄牛乳クレームという名のカラメルソースに浮かんだプリンよ。貴婦人のようなクレームアングレーズに浸るブランマンジェ。
姫様の宝石箱のようなシャルロット·プランタニェール。

昭和天皇はおそばが好きだったそうです。
そのそばは大膳の手打ちそば。
陛下は薬味に手をつけず海苔少々でそばを召し上がったそうです。
昭和天皇のお好きな物は松茸、鰻というのを何かの本で読んだ事があったなあ。陛下が好き嫌いをなさらず召し上がる事は大膳の人々への気配りだったのかもしれないなあ。
なにしろ、「腹が減ったから立ち食いそばでも食ってくらあ。」なんてホイホイ出かけられない御方であるから…。

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