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俯いていてもいいから、それには意味があるのだから

つい、視線だけが遠くへいってしまう。わたしはいまここを生きていることを忘れて、遠い過去や、あるいは未来へ思いを馳せてしまう。タイムトリップしているみたいに。思いと一緒にからだも持っていかれるような感覚を伴って。

あまり遠くばかり見ないでいよう。わたしはいまここにしか生きていない。過去も未来も生きることはできない。こうやってキーボードをたたいているわたしが、いまのわたし。そしてわたしはいまここにしかいない。

ミヒャエル・エンデの「モモ」にこのようなことを説明している一節があったような気がする。一歩一歩だけを見なさいと。そうすれば、でも、確実に進んでいけるからと。小学生の頃のわたしに、「モモ」のこの教えはある種の救いのように感じられた。福音とすら言ってもいいかもしれない。「モモ」を読んでから長い月日が経ったけれど、折々にあざやかな色を伴って思い出している。

あまり遠くばかり見ないで。
いまここを見ていないと桜はすぐに散ってしまうよ。

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