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【史】伯爵夫人はプログラマー/IT全史を読む(13)

聴いてみよう

この記事は、Podcast「にゃおのリテラシーを考えるラジオ」の2022年7月9日配信の書き起こしです。

読んでみよう

にゃおのリテラシーを考えるラジオ

読書と編集の千葉直樹です。

このチャンネルでは、読書と IT 時代の読み書き、そろばんを中心に様々な話をしています。

今回のタイトルは、

伯爵夫人はプログラマー

IT全史を読むシリーズの 13 回目です。

いきなりラノベか何かかな?というタイトルですが、結構古い時代の話です。

バベッジの解析機関の時代

前回バベッジが着想し設計した解析機関というコンピューターの祖先のような自動計算機械の話をしました。

この機械が着想されたのは 1837 年、 200 年近く前のことです。

この年に日本で起きた事件は、有名どころでは大塩平八郎の乱で、きっかけとなったのが天保の大飢饉でした。

日本は江戸時代でヨーロッパでもまだ王様が権力を握っている時代でした。

もちろん貴族もいたわけで、今回タイトルになってる伯爵夫人というのは本物の伯爵夫人。

お名前はラブレース伯爵夫人オーガスタ・エイダ・キングと言います。

伯爵夫人のエイダ

その生涯は Wikipedia などを見ていただくとして、彼女は世界初のプログラマーと呼ばれているのです。

彼女をエイダと呼ぶことにしましょう。

エイダは母親の影響を受けて数学を学んでいたようです。

そして、バベッジから数学とか階差機関という解析機関のひとつ前の計算機械について学び、強い興味を持ったと言われています。

後にバベッジがイタリアで行った解析機関の講演録を英語に翻訳して、その際に大量の注釈をつけ、さらにその中に解析機関用のプログラムを載せたのでした。

実はこのプログラムを書いたのはバベッジのようですが、別のバベッジと交わした書簡の中に、バベッジとは書き味の違うプログラムが載っていて、それはエイダが書いたものではないかと言われているのです。

エイダの考察

そして、解析機関が持つ可能性について考察をしています。

例えば、これまで音楽学の和声理論や作曲論で論じられてきた音階の基本的な構成を、数値やその組み合わせによって置き換えることができれば、解析機関は曲の複雑さや長さを問わず、細密で系統的な音楽作品を作曲できるでしょう。

世界初のソフトウェア・プログラマー、エイダ・ラブレスの偉業
Forbes Japan

面白いですね。

現代のコンピューターはまさにこういうことをやっていますが、 200 年近くも前にこんなことを想像できるというのは、広い教養と思索の賜物でしょう。

事実がどうだったかは少ない記録から辿るしかないので、かなりの想像が入っていることは否めませんが、解析機関に興味を示した女性科学者として、コンピューターの世界では独特の評価を得ているのです。

プログラミング言語Ada

コンピューター言語の中にAdaというものがあります。

1979 年からアメリカの国防総省によって開発が進められ、現在主流になっているオブジェクト指向などの概念を取り込んだ汎用のプログラミング言語です。

戦闘機などの信頼性が大切な航空機の制御プログラミングに使われ、僕たちにも身近なボーイング 777 型機の制御にも使われたようです。

未来のことを予言した美しい伯爵夫人のイメージは創作の世界でも愛されていて、 SF 小説や映画ドラマでも活躍しています。

あなたもエイダに興味を持ちましたか?

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今後配信の中で参考にしていきたいと思います。

おわりに

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今日もワクワクする日でありますように。

千葉直樹でした。

ではまた。

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