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KALATH
2023年10月4日 23:26
【焦げる怒り】 「チクショウ今日も収穫がねえな」 かれは怒りに満ちたひとり言を放つ。真夏の陽の下を歩きながら、怒りに奮えていた。 怒りの正体――。かれは直面するのが嫌だった。過去の苦い記憶を掘り起こすことになるから。自分を責めることになるから。 渋谷の高架下に置き捨てられた、ペットボトルや食品の余りを探す。 前ではなく、下を向く日々。今日をしのげるものは一向にみつかりそうにない。