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サイコパスバー「社会の扉」<完結>
■「中年」になって思う。 それは「女性との接し方」である。 理性的で、そして「余裕」のある気持ちが若い頃に備わっていれば、もっと楽しく生きて行けたのではないかと思う時がある。 筆者談
寒い時期に差し掛かった。
去年は「暖冬」だったが今年は違うだろう。
風が冷たく、そして日本経済もフリーズしている。
ジョウは「ダウンジャケット」を着ながら店のOPEN準備をしていた。
外の窓ガラスを拭き、看板を設置し、お店の外壁に「アルバイト募集」の張り紙を貼っていた。
お店の経営は何だかんだ「順調」だった。
金・土は「人手」が足りない位までお客さんが来てくれるようになっていた。
その為「金・土」のみアルバイトを雇うことにしたのだった。
このBar「社会の扉」はちょっとした「インフルエンサー」的な存在の「マナツさん」がお店の紹介をしてくれたお陰で、数多くの人達に知られるようになった。
そして、ちょっと変わったマスターの「お説教」をお酒を飲みながら聞けるという一風変わった「付加価値」が、このBarの「魅力」と噂されていた。
勿論この事に関して、ジョウは何も知らないでいた。
ジョウはお店の「経営」が上手く行っている反面、何処か物足りなさを感じていた。
その物足りなさとは何か?
もっと「お金」を稼ぎたいのか?
いや違う。
それは人との「共有」であった。
良い時も、悪い時も、共に「一喜一憂」できる「仲間」の大切さに気付き始めたのである。
そう、ジョウは決して「サイコパス」では無かった。
「共有」。
その事を気づき始めたジョウは、心に「空白」を作っていた。
そしてその「空白」を埋めるかのように、毎日懸命に仕事に取り組んでいた。
ジョウ
「今日は金曜日、店が一番込む曜日だな・・・」
ジョウは「張り紙」を貼り終え、店内に入り「ダウンジャケット」を脱いだ。
ハンガーに通してラックに掛けたのだが「ダウンジャケット」はハンガーを滑るようにして床に落ちてしまった。
そのことにジョウは気づいていない。
その時
チリンチリン♬(扉の鈴の音)
誰かが入ってきた。
まだ開店1時間前である。
ジョウ
「すいません、まだ営業しており・・ませ」
ジョウが振り返った先には「マナツさん」が立っていた。
落ちていた「ダウンジャケット」を片手に笑顔を作っていた。
マナツ
「すいません、アルバイトの募集まだしてますか?」
マナツさんは、いたずらっぽく言った。
ジョウ
「え?!」
ジョウは状況が掴めていなかった。
マナツ
「勤務時間は大丈夫よ。社長だからこそ時間が作れるのよ。」
マナツさんは少し真剣になって答えた。
マナツ
「それとも年齢がダメってこと?」
マナツさんは、またいたずらっぽく言った。
ジョウ
「いや、そうゆう問題じゃないんですけど・・・」
・・・・・・・・・・・・・
ジョウの心に青い春が訪れた。
心の中の「空白」に、やや強引に入り込んできた感があるが、それでもジョウは嬉しかった。
これで明日から「希望」を持って生きて行ける。
もう自分は独りではないんだ。
ジョウは少し感動していた。
だが、その感動を自ら壊すかのように、ジョウは「マナツさん」にこう伝えた。
ジョウ
「ではまずは履歴書を持って来て下さい」
生真面目なジョウらしい言葉だった。
完結
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