40代正社員ワーママ退職⑤退職日までに思いっきり仕事をして感謝される
退職を告げた後、吹っ切れ、まわりの雰囲気が柔らかくなったところまでお話ししました。
前回までのお話はこちらをどうぞ
まだまだ仕事は山積み
質問攻めにあう
引継ぎプレゼンが終わったら、仕事が終わり、というわけにはいきません。ホッとしてメールを見ようとしたら、
「すみません、あのう…先ほどのプレゼンのココについてもっと教えてください」と同僚が席まで来てくれました。
そりゃそうです。プレゼンの最後に「質問してくださってありがとうございます。質問攻めは楽しかったです」と伝えたのですから(笑)
質問攻めにあうということは頼りにされているということ。質問に答えらえないということは自分がわかっていないということ。それがわかるというのはこの上ない喜びでした。
ひとつひとつ丁寧に質問についてお答えしました。気が付いたら就業時間を過ぎてしまっていました。
片っ端から引継ぎ資料にする
片っ端から引継ぎ資料を作成しました。
メールで済むことも、ワードで文書にし、エクセル表を作成しました。
正直、引継ぎ資料は不要だと思っていました。
なぜなら、わたしは子どもが生まれてから「いつ、自分が子どもの熱で保育園から呼び出しがかかっても、いなくなってもいいように」気を付けていたからです。こまめに進捗表に記入し、メールでも報告、せっせと共有サーバに自分が作った資料を全部保存していました。
でも、それはあくまで私が数日間すれば戻ってくるから。
わたしはもう3月31日でいなくなるのです。会社からも、Zoomの中からも。メールのアカウントは同日の24:00に削除されるのです。
やはり、引継ぎ資料として残すことが必要だ、と思ったのです。
思いっきり仕事をする
これまでの面談では、幾度となく上司に「一度でいいから、思いっきり仕事をしたかった」と伝えていました。子育てが始まってから、実家も義実家も頼れない、なんなら夫も闘病中のなか、わんぱくでかわいい子どもに日々振り回され、面白いプロジェクトに入る気も、責任ある立場を引き受ける勇気は起きませんでした。わたしは、いつも思いっきり仕事をすることなく、途中であきらめ、上司と同僚に仕事を任せ、時間になったら帰っていました。そんな状況に開き直っているときすらあったのです。過去の自分に罪悪感が募りましたが、今、自分にできることをしたい、と思いました。
思い切って上司に聞きました。「退職日のその日まで、全力で思いっきり仕事をしてもいいですか?」
上司は理解してくれました。
「最後までモチベーションが下がらないえいこさんに感謝しています。好きなだけ、好きなように仕事をしていいですよ」
そして、わたしは最後の最後まで全力で仕事をすることを決めました。
「〇日までは実務を担当できます」
「〇日までに決めてください」
「お願いします。力を貸してください」
なんと言われてもいい。もう前を向いて走り抜けるしかありませんでした。
心無いひとことも、はねかえせる
「最後まで思いっきり仕事したいって、要するに自己満足だよね」
何気ない家族の言葉は、わたしの心をえぐりました。
「だってさ、評価もつかないわけでしょ。3月末に辞めるならボーナスもらえるわけじゃないし。今、頑張ってなんになるの?」
「美談を作りたいだけ?」
それもそのはずです。わたしはその前の評価では最低ランクでした。ヒット商品で盛り上がり、ボーナスの額面に湧き上がる同僚を横目に、最低評価でがっつり引かれた額面にがっくりし、愚痴をこぼしていたじゃないか、と家族は言いたげでした。
今までなら、家族の言葉に凹み、流され、楽な方に逃げたはずです。
でも、口から出てきた言葉は、自分でも驚くものでした。
「自己満足でもいい。後悔しないように仕事をしたい。ほんとに最後なんだから、協力してね!」
自分は、今、ここで何ができるか?
今、自分ができることは何か、考えました。
自分が与えられるものをすべて与えること。
これまで培った社内ネットワークをつなぐこと。そして、わたしが全力を尽くす姿を見せること。笑顔で対応すること。
「えいこさんがいなくなっても大丈夫なんだ」と自信を持ってもらうこと。
まだまだ、この会社でできることはたくさん残っているのです。
いつも通り、質問攻めには丁寧に答え、上司の徹底的な赤入れには笑顔で即修正し、少しでも疑問があったら電話をかけて解決しました。ZOOM会議でスピーカー接続に困っていたときは、駆け付けて、トラブルを解決しました。
みんなに感謝されました。
周りを信じていること
この会社や同僚が嫌で辞めるわけではないこと
最後の最後まで全力を尽くし、やり切ろうとしていること
自分の働き方を見せることで、周りは変わるんだ、と感じることができました。
退職あいさつを考え始める
社内でわたしの退職の話が広まり、いろいろなひとが話しかけてくれました。「18年間がんばりましたが、ワークライフバランスが限界に来たので、いったんリセットして生活を立て直します」と話しました。「もったいないね」と言ってくださるかたもいらっしゃいました。
「もったいないと言われているうちが花」という、家族の心無い、真理をついたことばも浮かびましたが、ありったけの笑顔で「ありがとうございます」と返事しました。
そうこうしているうちに、海外支社の代表、社長さんたちに、メールでごあいさつをしないといけない時期になりました。15年にわたり、さまざまな情報やデータを送ってきたお相手です。上司から「できるだけ早めに伝えてね」とリクエストがありましたし、きちんとした退職あいさつを考えはじめました。
自分がこの会社で何を学んだのか
これからどうしていくのか
感謝の気持ち
この3本立てで組み立てることにしました。
次に続く