見出し画像

【感想】「シャトルラン」侑 夜さり文庫

この作品との出会い


5/21に開催された文学フリマ東京36で手に取った侑さんの「シャトルラン」という作品の感想です。

この本との出会いは少し面白いものでした。
当日は僕もサークル参加をしていました。自分のサークルの本がある程度頒布できたこともあり、スペースは相方に任せて会場をフラフラと散策していました。当日は陰キャが発動していて相互フォローの方のスペースに行くつもりもなく(不義理ですみません…)なにか良いものがあれば手に取ろうくらいの感覚でした。
文学フリマはコミケやコミティアなどとは異なり割と声掛けがある即売会だと思います。ただ陰キャの性質として「無料ペーパーどうですか?」や「こんにちは」と話しかけられると近づくのに躊躇してしまうというものがあります。そのためなかなかじっくり見るということができません。自分のサークルに来た方に声をかけるのは平気なんですけどね……
そんな声掛けを十数回と受けて少し疲れていたところに、これまでとは違った声をかけられました。
「彼岸花綺麗ですね」
文学フリマ当日の僕の服装は彼岸花のアロハでした。まさか服についてお声がけいただくとは思わずびっくりして思わず立ち止まってしまいました。それをきっかけに少し会話をさせていただいたのですが、ほぼ服の話しかしていなかったです。そして試し読みさせていただいた「シャトルラン」の文章が素敵だったので手に取らせていただいた次第です。

「シャトルラン」侑 夜さり文庫

感想

本作は短編集(というか掌編集)で少し不思議なお話が16編入った作品になります。どの作品もとても印象的な文章で描かれていて、最後まで楽しく読ませていただきました。以下、特に印象に残った3作品の感想です。

桜黴
桜黴という黴が地球を覆ってしまった世界で宇宙人と出会い恋をするお話。この作品が一番のお気に入りでした。本作に収められている小説は比較的暗めの作品が多いのですが、この作品は底抜けに明るかったですね。主人公の僕と宇宙人の女性の会話は楽しかったですし、ピュアな二人は見ていて楽しかったです。

スマホに謎のもやもやが住み着く話
タイトルの通りスマホの液晶画面に謎のもやもやが住み着く話。もやもや自体のアイデアもそうなのですが、生活と連動してもやもやが変化するというのがすごく良かったですね。もやもやという少し不気味な存在に対する主人公の行動とオチが秀逸でした。

春眠
2pという短い作品でしたが「人生を季節に例えると、何から始まって何で終わると思う?」という一文がすごく良いなと思いました。こういう文章は日常ではなかなか目にできないですよね。教室内で子どもたちがわいわいと意見を交わす様子も鮮やかにイメージできますし、最後の一文の締めがすごくよかったです。

おわりに

久しぶりに自ら同人小説を手に取りましたが、サークル主の方との会話も含めていい出会いでした。純粋で素敵な文章で久しぶりに心が動きました。noteでも作品が読めるようなので気になった方は。

あとこれは当日来ていたアロハです。

https://zozo.jp/shop/mementism/goods-sale/28232526/?did=89081935


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?