「人道」って、なんだっけ。
「人道危機」という言葉を一日に何度、耳にするだろう。
人道とは、人の道、倫理のこと。
倫理とは、
「狭義には『人の道』における『徳目』を並べる『道徳』とほぼ同じだが、
狭い領域の個人レベルでの『あるべき行い』を示すというよりは、
人間共通の性質に着目しそのトータルな方向性に関して納得ずくで形成していく合意そのものを指す。
(徳永哲也『はじめて学ぶ生命・環境倫理 「生命圏の倫理学」を求めて』ナカニシヤ出版 2012)
「人道危機」と言われるのは、
人間共通の合意に反することが行われていることを指しているのだろう。
「人間共通の合意」とは何を指すのだろうか。
一番近いのは、
193ヵ国が加盟する国際連合の「国連憲章」ではないだろうか。
「国連憲章」では、
国連加盟国の人々は国際平和と安全を維持するために努力を結集すること、
と、前文に示している。
これが少なくとも国連加盟国の倫理であり、「人道」であると考える。
国際平和と安全が維持されているとは言い難い現状にある。
人道に反する状況を引き起こしているものは何か。
人道に反する状況を引き起こしているのは、一人の人間なのか。
それとも、何らかの組織やグループなのか。
それとも、どこかの国なのか。
それは、わたしの中の何かとは、まったく関係ないのか。。
いまこの瞬間の人道危機に、わたしが努力できることは何か。
人道危機に敏感になること。
人道に反する行為には「NO」を示すこと。
人道危機ゆえに、追われた人たちに心を寄せること。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、ウクライナからの国外避難者は150万人を超えたと発表した(3月6日現在)。
この状況を受け、岸田首相はウクライナ国外避難者の受け入れを発表(3月2日現在)。
「まずは親族や知人が日本にいる方々を受け入れることを想定するが、それにとどまらず人道的な観点から対応していく」(岸田首相)ということだが、実際は外国籍の人が日本で暮すのは簡単ではない。
仕事は?
家は?
学校は?
携帯の契約は?
金融機関の口座は?
印鑑はまだ要る?アルファベット?カタカナ?
商品やサービスは使いやすい?
命からがら逃げてきたのだから、以前ののような生活ができないのは当然?
文化や習慣、宗教が違っても、言葉ができなくても困らずに生活できる?
背の高さ、目の色、髪の色、服装が見慣れなくても偏見を持たない?
国の制度や仕組みはもちろん、
私たち、一人ひとりの言動が問われている。
改めて考え、行動を変えていかなければ。
逃げる必要がない環境にすることが一番だけれど、
もしも、自分がなにかに追われた時に、安心して逃げられる場所がある。
そんな世界に住みたいし、そうなるように動きたい。
たぶん「人道支援」は、身近なところにこそある。
【参考】
難民の地域定住支援ガイドブック:笹川平和財団
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