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№15:身体は人によって異なる

胃の形態の多様性

みちゆく人間をみて、犬や猿などと間違うことはありません。
しかし実際は個々人の相違点も多く、一卵性双生児を除いては、まず外見が違います。さらに解剖学的な個性は顔や指紋だけでなく内臓にも及び、例をあげれば胃の形態の多様性は象徴的です。

〇鉤状胃 欧米人に多く特徴として消化された食べ物は比較的スムーズに十二指腸に流れるため、胃もたれが起こりにくい。また、比較的十二指腸潰瘍が多い

〇牛角胃 日本人に多い。胃に食べ物が残りやすい。 そのため、胃が動いてくれないと胃もたれ などの胃症状になりやすい。胃潰瘍が比較的多い。

〇瀑状胃 日本人の10人中2~3人。二つ折りになっている複雑な形状で2か所に食べ物が溜まってしまうため、胃もたれ、胸やけなど、消化が遅い。胃酸過多剰となるため胃炎を起こしやすい。


上記の違いが人間の特定の病気に対する感受性の違いがでることは予想がつきます。他にも尿管や異常に低位置にある腎臓といった泌尿器の奇形は腎臓の感染症を招きやすくするし、冠動脈の分岐形態は心筋梗塞発作時の生存率に関わります。

形態だけでなく機能も異なる

煙草を吸う人がみな肺がんになるかといえばそうではない。
青年期から70歳くらいまで一日1.2箱吸い続け、しかも煙草を吸わない20歳台の人よりも健康な呼吸器を持っている人はたくさんいます。
その人たちは強靭な体質と呼吸器系にめぐまれていると言える。同様に肝臓~アルコール(分解酵素の有無、肝臓の修復力)でも同じことがいえます。
もちろん、これらの人たちの経験を一般化するのは危険です、同量の煙草、アルコールを摂取、もしくはそれ以下でも病気になる人も多いからです。

「甲の薬は乙の毒」

単純に少しの遺伝的な相違で、ある物質を食べてそれを消化する人もいれば消化ができない人もいます。もっといえば食物に関連するアレルギーは様々です。それら生化学的な個性は、当然薬剤・薬物に対する効果、副作用、副反応も多様化してくるので時に「甲の薬は乙の毒」ということもあるわけです。
個人差を無視し、個人的体験を一般化してしまう傾向は様々な健康法や食餌療法でも見られます。仮に各方面の「唯一の正しい食べ方」を選択したら、何も食べられなくなってしまいます。
個人的体験を一般化することも良いといえませんが、個人差を考慮せずにガイドラインのみに沿うこともバランスを欠きます。
それは薬剤、外科手術、鍼灸、トレーニングすべてにいえることでしょう。からだが人によって異なるということは自分の身体は唯一自分だけのもの、他に代わるものがない、だからかけがえのない身体(命)なのです。

最後までお読みいただきありがとうございました。


参考文献


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