見出し画像

大学へ行こう!(その1)

11月は体力気力ともに限界を迎えていたので、遠出をしなかった。

しかし、令和初となる師走を迎え、ここで改めて自分を見つめなおすという意味で、学生時代に過ごした町に出かけることにした。

大学は無事に卒業したが、そのまま進んだ大学院は中々険しい道だった。途中でやめて以来、大学に気まずい思いを残したまま、今まで訪れることがなかった。

休日の朝は、そんなに早く起きれない。

遅めの朝ごはんを食べた後、出発した。

山を越えると曇天が広がる。本当に雲が厚い。今の生活では、天気予報が曇りだと、本当の曇りなのだが、その町は曇りの天気予報はほぼ雨が降る。

案の定、ポツポツとフロントガラスに雨が落ちてきた。

しかし、本降りになる様子はないので、気にせずに向かう。スタッドレスに変えていないので、この雨が雪でなくて良かった。


町に到着して、まずは昼ご飯を軽めに食べたいと思い、大学近くの某ハンバーガーチェーン店に入った。このお店のオープニングスタッフとして働いていたことがあった。時給が悪くてすぐに辞めけど。

お昼時なので店内は込み合っていたが、「お昼時は禁煙席」として開放されていた喫煙スペースが、ガラガラだった。煙草のにおいが気になるが、ヘビースモーカーの上司の煙草臭に比べれば、まったく無問題だったので、喫煙スペースでハンバーガーを貪り食った。

私が食べ終わるまで、誰一人、ガラスで仕切られたこの喫煙スペースには入って来ず、禁煙スペースは混み合うばかりだったのでしばしの優越感もスパイスとして味わえた。

画像1

(ハンバーガーを食い散らかした図)

昼食を食べて、大学周辺を車で徘徊する。町を眺めて変わっていない景色、変わった店を観察し、大学へ向かった。

中退して以来入ることのなかった大学は、やはり陰鬱な感じだった。建物は汚れ、構内は冬らしく植物が死んでいた。

しかし、確かによくこの大学に通っていたなぁとしみじみ思った。

お世話になった先生の研究室に向かったが、あいにくお留守のようだったので、扉に掲げられたホワイトボードにメッセージを書き残した。

すぐ横に目をやると、自分が作成した卒業論文のポスターが飾られていたので、なんだか居心地が悪くなりすぐに立ち去った。立ち去りながらも、掲示板やエレベーターホールの壁に目をやると、セミナーや講義の案内や、就活情報などが所せましと貼ってあった。

自分が大学生のころは、こんなに情報があっただろうか。まったく記憶にない。でも、たぶんあったんだと思う。学生のころの私は今と興味のあるものも全く違うし、視野も今よりもさらに狭い。本当に何も考えずに、ただ周囲に流されながら、親の金でダラダラと大学に通っていたパッパラパーな学生だったので、そんな情報がぶら下がっていたとしても、まったく視界にも入っていなかったと思う。

本当に何も考えてなかったなと思いながら、せっかく大学に入ったので図書館へ行ってみた。

図書館は私がいたころよりもきれいに改装されていた。中では大学生がチラホラ勉学に励んでいた。本当に立派なものだと思う。

私は大学を選ぶ際に、蔵書数の多い大学を選んだ。そのほうが研究をするうえでの情報が得られやすいと思ったのだ(当時は。)

しかし大学に入ってもそんなに図書館を活用しなかった。図書館で勉強なんてしたことないし、入って本を借りたこともほとんどなかった。

今思えば、本当にもったいないことをしたなと思う。

少し、椅子に座って数冊適当に本を持ってきて読んだ。結構いい本が入っている。私が今適当に持ってきた本は、当時の私なら絶対に選べない本だと思う。というか、視界に入っていないというか、そんなジャンルがあるという知識もないだろいう。(おそらく10年後の私は、今の私を見て視野が狭いというと思う。過去の自分を振り返るのは本当に恥ずかしく、身を切られるような思いをする)

いろんなジャンルに触れ知識を得ようと自発的に動いていれば、学生時代を有意義に過ごそうと行動をしていれば、もう少し違っていたかもしれない。と思ったけど、例えば今、学生時代に戻っても、どうせ思ったようにはならないだろう。

私は楽なほうへ楽なほうへと流れる人間だしね。そう自分に保険をかけて、大学を後にした。

あとは、懐かしいと思う場所や行ってみたかったお店などをめぐり、ホテルへチェックインをした。

この町は地形のせいか、もやっとしたいやに湿度が高い夜が訪れることが多い。そして雲に覆われて、星が見えない夜も多々ある。

今日はそのどちらも当てはまっていた。

明日はどのように過ごすかは、まだ未定である。ただ一つ、先生を会えることになったことを除いて。

画像2

(目が謎の素材でできている鳥の像)


画像3

(ホテルの部屋の照明が意外と可愛かった)






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?