エッセイを書く~初回、簡単な自己紹介~

そう言えば、本を読むことが好きだった。
いや、好きと言っていいのかはわからない。

小学校低学年の頃、夏目漱石の『吾輩は猫である』を読んでいた。
作者は猫になりきっているからだろうか、猫の語りから始まるこの本は一文一文は短く読みやすい。しかし、読みやすいかと思いきや本は分厚い。
持っているだけで、文字を目で追っているだけで賢くなった気がした。

その猫の、あっけない結末を読んで、面白いという感想はなかった。
やっと読み終えた!あの夏目漱石を読破したぞ!という達成感だった。
それは果たして本を読むことを好きだといってよかったのか。

内容を理解できないことは悔しかった。文学に負けたくないという思いがあった。文学に歯が立たないのは当たり前のことなのに。
なんと傲慢な小学生か。
面白いと感想を持てなかったことは、文学を理解できていないということだと思うと悔しかった。文学の、その本の世界を理解したかった。楽しみたかった。

その後、繰り返し、ゆっくりと読み直す。時間をかけて。
それは本と向き合ったいい思い出だ。

それからも本を読むことは嫌いではなかった。いろんな世界を本にのって旅をした。



文章を書くことも嫌いではなかった。どちらかといえば好きだったのかもしれない。私の書いた文章をほめてくれる人がいたから。読んだり書いたりして、文字の世界に没入することは楽しかった。

少し大人になった今、エッセイを書いてみようかと思い立つ。
誰もが、自由に表現できる時代。
この時代の波に自分の体を浮かせてみたくなった。
このつたない表現でなにを伝えられるかはわからないけれど、考えたことや感じたことをわたしの形で表すことが、できたらと思う。

よろしければお付き合いだください。


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