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名前:ツレがネトウヨになりまして

生没年:2018/08/15〜2019/04/30


小説の成長記録:
政治とヒューマンドラマの子供として生まれた。333文字のノンポリで能天気な子供であった。この子はノンポリであったが人をからかうのが大好きで、そのせいでよくトラブルを起こしていた。両親はこの子がとんでもないことに巻き込まれないかと心配していたが、その予感は的中し2019/04/30子供は政治犯としてと起訴され裁判中に急死した。全文字数:31430字


小説の性格:
ツレが突然ウツ、ではなくネトウヨになってしまったお話である。夫の君春が珍しくまっすぐ家に帰ってきた。しかし君春は帰ってくるなり妻の波子がたまたまつけてたテレビのニュース番組を「こんなパヨク番組観てるんじゃねえ!」とチャンネルを替えてしまったのである。そして君春は別の番組を観始めたのだったが、その番組はネトウヨに大人気の『世界が認めた凄すぎる日本!』と言う番組であった。君春は番組を見ながら「見ろパヨクども!日本はこんなにすごいんだぞ!」とか喚き散らしていた。そんな君春に波子は酔っ払ってるの?と聞いたのだが、君春は突然怒り出し「何言ってんだお前!日本が反日勢力に征服されようとしている時に酒なんか飲んでられるか!」と怒鳴ってきたのである。波子はろくでなしのぐうたら夫の今までみたこともない真剣そのものの表情を見て唖然としたのである。まさか!ツレがネトウヨになってしまったなんて……。

夫の君春をネトウヨから更生させるために波子はとりあえず夫の同僚や友人達に夫の最近の精神状態を聞いたのだが、君春は最近おかしくなったと皆一様に言っていた。さらに詳しく聞くと君春はネットの掲示板の影響をまんま受けたらしく、その掲示板の受け売りで日本の危機だと喚いているそうだ。しかも唖然としたことに君春は掲示板に書き込みまでしているようである。波子はそれを聞いてさっそく掲示板で夫らしき人物を探したのだがすぐに見つかった。君春は『君の春』とかいう名前で100レス以上もブッ続けにレスをしていたからである。『日本を反日勢力から守れ!』『パヨクパヨクパヨク!』『何がネトウヨは貧乏だ!お前らの方が貧乏じゃねえか!俺、堺雅人そっくりのイケメン!かみさん宮崎あおいそっくり!年収は1000万以上!』……波子は自分が宮崎あおいそっくりと書かれ悪い気はしなかったが、しかし他の部分は全くのでたらめで、彼女は掲示板で夫がすっかりネトウヨ思想に染まっている事実を確認したのであった。

彼女は夫をネトウヨから治そうと休日に君春を外に連れ出したがその間もパヨクパヨクと呟いて、トイレに行くと言ってしばらく公衆便所から帰ってこないので、波子は、まさか!と思い自分のスマホで掲示板を確認すると君の春こと君春のレスがずらりと並んでいたのである。

その後も夫は朝起きるとパヨクパヨク、夜帰ってくるとパヨクパヨクとつぶやいていて波子はその『パヨクパヨク』ってのをやめないと離婚するぞ!と君春を脅しつけるが、そのうちに何故か波子も「日本をパヨクの手から救おう!」と言い出し、その後に『当作品を読んでご不快な思いになられた皆様に謝罪致します。誠に申し訳ありませんでした!』と謝罪の言葉が載りこの小説は終わった。


小説の成長秘話:
作者は自分の作品が誰にも読まれていない現状に憂いていた。もっと読まれたいし星も欲しい。いろいろ方法を考えたがやっぱり正攻法じゃなくて炎上マーケティングでいこうと考えたのである。じゃあどこを狙うかと考えやっぱり政治関係がいいべと作者は考えた。作者は実のところノンポリで政治思想など特に持っていなかったが、なんとなくだがネトウヨをからかったら面白かんべと思いこの小説を書いたのだった。小説は題材もあって連載開始と同時にアクセス数も伸びてランキング入りしたが、やっぱりその方面から「パヨクさんへ、ネトウヨをらからかって楽しいですか?」というコメントが続々とついた。作者は、キタキタ!そういう反応お待ちしてましたとノリノリになり、ドンドン連載を続けていったが、同時コメントも増えていき「パヨクパヨクパヨク!」「ヘイト反対のお前らが堂々とヘイト行為行っていいわけ?」「ネトウヨはメンヘル扱いですか。酷いヘイトを書きますねパヨクの皆さんは」といったコメントが並んでいた。作者はすっかり面白くなりさらに炎上させようと「いつもコメントありがとうございます!ネトウヨの皆さん!こんなとこまで出張お疲れ様です!」と煽りのコメントを入れたのであった。そのせいでますますコメントは増えていき、作者が小説を更新するたんびにいつものネトウヨのメンツがそろって文字数の限界まで「パヨクパヨク」とコメントを書き込んでいくのである。小説の方も最初のうちは読者の多かったのだが、ネトウヨのコメントのせいで誰も寄り付かなくなってしまった。今や作者の小説の読者はたった数人のネトウヨのみになってしまった。しかも彼らは作者の他の小説まで「パヨクパヨク」と荒らし始めたのであった。

追い詰められた作者はとうとう自分がパヨクでないこと、この小説はネトウヨを題材にして炎上させて人気をとりたかったことなどを正直に書いて謝罪したが、炎上は収まらず「今さらパヨクじゃねえとか嘘つくんじゃねえよ!」「パヨクの政治思想ってそんなもんなんですね。都合が悪くなるとすぐ一般人ヅラすんだから!」「パヨクじゃない一般人がこんなにネトウヨディスれるかよ!」と炎上は収まらずかえってヒートアップしていった。

作者はもはや小説の続行は不可能とネトウヨにこびるためにストーリーを申し訳程度に変更し、そのあとに謝罪文を書いて小説を中絶した。


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