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妊娠…招かれざる客 第2章 その3

 理事長の言葉を聞いて慌ててジジイ達が土下座し始めました。するとまたポンコツババアが割り込んできて、「あら、先生たちが謝ることはないわ!謝るのはこの子ですよ!全くいきなり先生たちを轢こうとして!お医者様に殺されるとかおバカなこと言って!いい年してるのに猿なんかとおままごとなんかしたりしてるし、おまけに人をポンコツババアと酷いこと言って罵るし、一体どういう教育受けてきたのかしら!さあ先生方お立ちになって!お膝が汚れてしまいますわ!」とかぬかしくさったので、私はもう我慢できなくなってポンコツババアに「黙れポンコツババア!アンタなんか今すぐクビよ!さっさと出ていけ!そして猿山家の前に二度と顔を見せるな!パパとママにもお前をクビにしてやるって伝えとくから覚悟しろ!」と怒鳴りつけてババアに思いっきり札束を投げつけてやりました。するとポンコツババアはそのシワだらけの顔を真っ青にして、あわわわ!と入れ歯をガチガチ鳴らしながら「南無阿弥陀仏!南無阿弥陀仏!」と念仏を唱えながら部屋から逃げていきました。

 さぁ、次はコイツラ、と土下座している連中を追い出そうと「お前たちもさっさと出ていけ!」と怒鳴りつけてやりましたが、コイツラは「いえ、謝罪をするまで私共は帰りません!」の一点張りで帰ろうとしません。理事長なんか汚い顔に涙なんか流しています。泣かれちゃかなわないと私は「わかりました」ととりあえず謝罪だけは受け取って、とっとと帰ってもらおうとしましたが、何故か急に上機嫌になった理事長がいきなりこんなことを言ったのです。

「えっ、許していただけるのですか?では寄付の方も続けていただけるのですね!いやぁ~、あの寄付がなかったら私破産していたとこですよ!先日ラスベガスで猿山様からいただいた寄付金全額すってしまいましたね!それどころじゃない!ほかにも世界中のカジノで作った借金が山のようにありまして、猿山様の寄付金がなければ病院を閉鎖しなきゃいけないとこです!だからお母様から娘が寄付やめろっていうから今回で寄付辞めますって言われた時は目の前が真っ暗になりましたよ!助かります!助かります!あなたは女神だ!聖母マリアだ!地獄に観音菩薩だ!ああ!これで病院も安泰だ!またカジノに行ける!君たち、今日は久しぶりに銀座のクラブで豪遊だ!」

 呆れました。こいつらママの金をそんなことに使っていたなんて許せない!このバカ者どもが!こんなクソ病院さっさと潰れてしまえばいいのよ!私は完全にブチ切れて今度こそこいつら全員轢いてやる!と車椅子のハンドリムを思いっきり握りしめて突っ込もうとしたその時です。理事長が矢継ぎ早にこう言ったのです。

「猿山様!もう一つ、あなたのご病気のことで大事なお話があるのです!詳しい話はそこにいる副院長と当病院が大学病院から呼んだあなたの担当医に聞いてください!」

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