三月に向けて送る言葉

 寒い毎日が続きますがもうすぐ冬は終わりです。長いようで短い冬。私は冬の間ずっと引きこもっていました。エアコンが壊れた幽霊さえ寒すぎて寄らない部屋でずっと寝ていました。まぁいわゆる冬眠ですね。クマさん気分でずっとねてたんですよ。親はそんなこと承知ですから僕を叩き起こそうなんてしなかったです。まぁ僕を叩き起こしたらどうなるかわかっているだろうし、僕が泣き叫んで体内のあらゆる排泄物を撒き散らすことぐらいわかってことぐらいわかっているだろうし。そんな感じで冬眠していたら誰かが僕の肩を揺すっているじゃないですか。僕は両親がとうとうボケたのかと思い、脅すためにお尻に力を入れて実を出そうとしました。だけどです。目をパチクリと開いた僕の前にいたのは親ではなくて全く知らない他人だったのです。彼らは僕を呆れ顔で見て話し始めました。

「ペットってこれですか?『クマじゃなくて豚に似てるんですが、クマのように乱暴じゃないのでエサをあげれば手懐けられると思います。私たちは田舎で隠棲しますので、ペット付きの格安価格でお譲りします。』ってコイツがそのペットですか?これ豚に限りなく近いけど人間じゃないですか?こんな不細工なペットなんて入りませんよ!早く元の飼い主に返してくださいよ!」

「いや、そんなこと言っても先方はこの家を購入する条件としてペットを一生飼い続けることとしてるんですよ!だからこんなに安いんですよ!さぁ、だから早く契約書にサインしてくださいよ!」

「あなたの言ってることはよく分かりました。で、あの……ですね。先方には当然内密にしてもらいたいんですけど、このペット保健所で預かってもらうことって可能でしょうか?」

「あなた、あなた何言ってるんですか!これは限りなく豚に近いけど人間ですよ!それを犬猫みたいにガスで処分しろというんですか?それってあなた殺人ですよ!」


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