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短編

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#アート

続・札幌でサッポロ一番を食べる ~彼女と過ごした奇跡の三日間

一日目  こうして僕はまた北海道に帰ってきた。勿論また札幌でサッポロ一番を食べるためだ。…

秋(空き)時間
8か月前
135

ビートルズのいない世界

 ヨーロッパ中に混乱を引き起こしたあの世界大戦から半世紀が経とうとしていた。ヨーロッパ各…

秋(空き)時間
2か月前
32

物を書くこと

 物を書く行為は果実を絞るようにも、鉛筆の先端をミリ単位で削るようにも喩えられる。それは…

秋(空き)時間
2か月前
24

天然の夢

 とある夢売り店に一人の少女がやってきてカウンターの店主に涙目で尋ねた。 「私、夢が欲し…

秋(空き)時間
2か月前
28

アートの時代

 トー横生まれヒップホップ育ちってうそぶいて生きてきた。ガタイも良くねえ。ケンカも強くね…

秋(空き)時間
3か月前
28

古本から恋が始まる

 書店には置かれていなかった。ブックオフにすらなかった。かろうじて在庫が確認出来たのはAm…

秋(空き)時間
5か月前
19

和製ピカソと呼ばれた男

 その昔和製ピカソと呼ばれた画家がいた。この画家横山天心はその通りまるでピカソをなぞるような少年時代を送ってきた。赤子の頃から美術教師の父に徹底的にアカデミックな美術教育を受け中学を卒業する頃には完全に玄人はだしの絵を描くようになっていた。天心が美大に入るまでに手に入れた賞状は部屋には到底納まりきらないぐらいあった。彼の高校時代の美術教師は天心を日本で一番絵が上手いと発言した。しかしいくら絵が上手くても現代の美術でそれが役に立つかといえばそうではない。美術の世界におけるアカデ

深夜のシティポップ

 バーの壁に浮かぶ二つのシルエット。カウンターの真上のライトに淡く照らし出された二人。僕…

秋(空き)時間
8か月前
23

アート・オブ・ライフ

 ポエマーの龍崎香澄とペインターの華丸武司は文学界と美術界の華麗なるコラボカップルであっ…

秋(空き)時間
8か月前
27

ライバルたちの真実 第一回:レオナルト・ダ・ヴィンチとミケランジェロ

 そんなわけで次はどうなるかわからないシリーズが始まりました。とりあえず歴史上のライバル…

秋(空き)時間
8か月前
21

絵画への招待

 気の迷いかなんなのかどうかわからないが、私はいつの間にかとあるギャラリーの中に入ってい…

秋(空き)時間
9か月前
12

視る男

 街の外れの小さな美術館に一日中館内にいる男がいた。その男は着物姿の白髪の老人で開館から…

秋(空き)時間
9か月前
18

宋時代の画家が描いた想像の地球図

 地球が丸いという事は現代では誰もが知る事だが、それがあまり広まっていなかった近代以前の…

秋(空き)時間
9か月前
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デオドール・ゲッセンの肖像

 デオドール・ゲッセンは十九世紀のドイツで活躍した偉大なる哲学者である。その彼が亡くなって数年が経った頃、信奉者たちがゲッセンの業績を後世に残そうと、彼の著作集の出版を計画した。信奉者たちは最初に出版社に声をかけたが、出版社もこの偉大なる哲学者の著作を出版することは名誉であると考えていたので断る理由などなくすぐさま著作集の編集作業に取り掛かったのであった。  ゲッセンの著作集は驚くほど早く仕上がっていった。ゲッセンの導きのおかげか、編集者たちのゲッセンへの愛か。とにかく本は