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短編

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2020年10月の記事一覧

10月30日

 まだ夜明け前だ。私は今一人目覚めてハローウィン前夜祭を祝っている。ハローウィンを目の前…

9

きれいさっぱり忘れる

 きれいさっぱり忘れるというのは時には大事なことだと思う。私は辛いことがあった時はいつも…

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グラフゲルツァー氏の実験

 偉大なる科学者グラフゲルツァーは実験を始めるにあたって研究員たちにこう述べた。 「実験…

8

信じる心を持って

「なんでケンちゃんはそんなに変わっちゃったの?昔のケンちゃんはそんな人じゃなかった!もっ…

12

10月に別れを告げて

 秋の終わりはやっぱり別れで終わるのかと僕はしみじみと思った。隣の席の光子さんが今月限り…

14

月から火星にいく方法

 ずっと探していたの。と彼女は言った。何が?と僕が彼女に聞くと彼女は「月から火星にいく方…

14

世界で一番な危険なバンド

 奴らは世界で一番危険なロックバンドだった。その危険ぶりはギャングスターが束になっても叶わないぐらいだった。アンダーグラウンドの極みのような彼らのCDは全く売れなかったが、ライブの収入でなんとか暮らしていた。彼らのライブはいつもアコースティックね甘いバラードから始まった。そして客がその甘いバラードに酔ったところでギターのネックを客席に向けてギターのボディの中の引き金を引いて客を全員ぶち殺してしまったのである。生きている人間が彼ら以外に居なくなったライブハウスで彼らは死体から財

友たちのままで

 友たちのままでいよう。そう言って彼は私から去っていた。私は彼とは友達ですらなく、また話…

10

復縁

「正直離れていた時いつもオマエのことばかり思い浮かべてきた。目を閉じたらオマエの顔がすぐ…

9

この世で願いが叶わぬならば

 と守はせめて転生したらあなたの子供に生まれたいと誓ってあの世に旅だって逝った。守は里美…

14

ヨーゼフvsホームズ 第四話:ノイケルン区××番地アパート666怪死事件 その1

 警視総監の一言でヨーゼフ警視はハッと我に返った。そして彼は慌てて散々怒鳴り散らしたホー…

11

光秀と秀吉

 山林を落ち延びてゆく光秀は今にして思えば信長を本能寺で焼き殺した後さっさと秀吉を攻めて…

7

生きるということ

 人間は水だけでもある程度は生きられるとどこかで聞いた。だから私は泉のそばで生きていこう…

12

この時間を抱きしめて

 今日はお休みだった。仕事の、いや人生の休息だった。秋の色づく葉を眺めながら私は一杯のレモネードを飲んだ。透き通る空。空がこんなに綺麗だなんて最近全く気づかなかった。突然降ってきたこの休日を私は秋の木漏れ日を眺めながら過ごしたい。ヴェルレーヌの詩を口ずさみながら……。  だけど時間はあっというまに過ぎていく。優雅にヴェルレーヌの詩を口ずさんでいる間も会社からは君どうなっているんだと頻繁に電話が来たけど、私の時間は私の時間。誰にも邪魔なんかさせない。今日は余計な電話で優雅な時