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AI時代に求められるのは、「デザイン思考✖️論理的思考」の二刀流 ①

皆さんは『デザイン思考』というものをご存知でしょうか。

私は以前、製造メーカーでインハウスデザイナーとして働き、デザイン業務だけでなく、幅広い業務を担当していました。
その時に私が感じた『デザイン思考』の有効性について、皆さんにも共有したいと思います。

今回は、そもそもの『デザイン思考』について説明していきたいと思います。


デザイン思考とは?

デザイン思考の概略

デザイン思考とは、デザイナーが仕事で使っている思考プロセスを、ビジネス上での様々な課題解決に活用していく思考法です。

ここで重要なのは、「デザイン」という言葉が製品などの「見た目の美しさ」ではなく、「設計する」という意味を指していることです。

本来、デザインとは何かしらの課題を解決することを目的としています。
デザインとアートとの大きな違いはここにあります。
デザイン=問題解決・客観的であり、アート=自己表現・主観的です。

デザイン思考では、この問題解決へのアプローチに対して焦点を当てていきます。

デザイン思考の特徴

デザイン思考の特徴として、以下の3つのことが挙げられます。
(※詳しく知りたい方はこちらのサイトをご覧ください。)

①人間中心設計
商品やサービスのユーザーの立場を起点に課題を見出していく。

②共創型
様々な価値観を持つ人達がチームを作り、課題を多角的に掘り下げていく。

③非線形プロセス

段階を踏んで直線的に進めるのではなく、後戻りも良しとし、試行錯誤を繰り返しながら進めていく。

デザイン思考の進め方

スタンフォード大学のハッソ・プラットナー・デザイン研究所が提唱している、デザイン思考を実践する際の5つのプロセスについてご紹介します。

https://www.dodadsj.com/content/220427_design-thinking/

①共感
インタビューやアンケートを用いて、ユーザー視点で課題を考えます。
この際注意したいことは、ユーザーの回答を正直に受け止めるのではなく、言葉にされていないニーズ(潜在ニーズ)にも注目することです。
そのためにも「共創型」で多角的に判断することが大切です。

②定義
共感で得られた情報をもとに、ユーザーのニーズ・課題を設定します。
抽象的になり過ぎない・専門用語を多用しない、といった注意が必要です。

③概念化
いわゆるアイデア出しです。定義したものに対して、様々なアプローチからアイデアを出していきます。(アイデアを発散させる、とも言います。)

ここで最も重要なのは、この段階で「良し悪しを判断しない」ことです。
この段階での目的はアイデアをより多く出すことです。
そのため、どんなバカげたアイデアでも否定することは避けましょう。
また、人の考えから発想を得て、どんどん飛躍させていくのも良いでしょう。

④試作 & ⑤テスト
アイデアが固まってきたら、試作品を作り、検証していきます。
ここで注意すべき点があります。それは、低コスト・短時間で作るということです。

デザイン思考の特徴の一つでも説明しましたが、この思考法は非線形プロセスです。つまり、一度の試作で正解に辿り着くことを想定していません。
検証結果を踏まえ、また別の試作品を検証する。そうしたことを繰り返しながら完成へと近づいていきます。時には、アイデア出しに戻ることもあり得ます。

人間の心理として、試作品のクオリティを高めてしまうと、「捨てるのがもったいない」「ここまでやったんだから」とバイアスがかかって正常な判断ができなくなります。

商品であるなら、段ボールや模造紙などで作ってみる。
サービスであるなら、アナログで試してみる。

ある程度完成度が高まるまでは、すぐにやり直せる状態でテストすることが良いでしょう。

デザイン思考のメリット

デザイン思考のメリットとして、以下のことが挙げられます。

●アイデア提案を習慣化できる
●多様な意見を受容するスタンスが広がる
●イノベーションの創出がしやすくなる
●ユーザーに支持される商品の開発につながる
●チーム力が強化される

https://www.dodadsj.com/content/220427_design-thinking/

デザイン思考のデメリット

デザイン思考も万能ではありません。弱点として、次のようなことが考えられます。
・時間がかかる
試行錯誤を繰り返す非線形プロセスのため、完成までに時間がかかります。
短納期の仕事の場合には不向きでしょう。
・ゼロから何かを生み出すのには向いていない
ユーザーのニーズから問題を見出すため、そもそもニーズがない、全く新しいものを作るのは難しいでしょう。
・多くの人員が必要
多角的な視点が求められるため、ある程度の人員が必要です。
また、企画内容によっては複数の部署(組織)から人員を募る場合もあるでしょう。それも統括していく人にも、経験やスキルが求められてきます。

「ひとりビジネス思考」の提案

これまで、一般的に説明されている「ビジネス思考」について説明してきました。ビジネス思考に限らず、どの思考法にもメリット・デメリットがあります。

しかし、このビジネス思考を『個人』で行うことができれば、社会人として、とても強力な強みになるのではないでしょうか。

元々はデザイナーの思考をビジネスに落とし込んだもの。デザイナーは個人でも成立しています。
そうであるならば、ビジネスマンも個人で「ビジネス思考」を行うことができるのではないだろうか。

次回、「ひとりビジネス思考」と「論理的思考との二刀流」について書いていきたいと思います。

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